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【ドルチェ・アマービレ】(36)

 【ホワイトアスパラガスとキャッツアイオイスター、黒トリュフのサバイヨン添え。】

 【メインはシャラン産鴨のフィレ肉のロースト、ブラッドオレンジソース。】

 【デザートは好きなっものを選んで下さい。】

 ここは横浜中央区日本大通りにある『アルテリーベ』ミュージックレストラン。
 教授がネットで予約したお店だ。
 場所は、みなとみらい線日本大通り駅を出てすぐ、神奈川県庁、中華街も横浜スタジアムがすぐ傍だった。
 何より、クラッシックの生演奏を聴きながら食事が出来た。

 【超高級店では有りませんが、良い雰囲気でしょう?】
 今夜のコースは約13,000円のコースだった。ネットで調べたんだけど、教授は2番目に高いコースを選択した。だって、1番高いの1万7千円位するもの、学生には贅沢すぎる。

 でも教授は前にも横浜に連れて来てくれたけど横浜が好きなのかしら?
 『教授は横浜が好きなんですか?良くいらして居るの?』
 【好き?と聞かれれば好きでしょうね。】
 何か物思いに耽っているのだろうか?返答が短い。
 『もしかして、恋人と来たのですか?』
 【・・・・元、ですけどね。昔の事です。】
 教授はワインを一口飲み、話を続けた。
 【綾歌君は私の若い頃の思い出話等聞いても面白くないでしょう。それに・・亡き妻との思い出ですから、余り気分の良いものではないですよ。】
 三船さんが話してくれた奥様の事を、私の前で初めて口にした。
 『いいえ教授。私奥様の事もお聞きしたい。教授のお若い頃のお話も聞きたいです。』
 ワインの酔いに任せて言ってみた。

 【実は・・・妻と知り合ったころ1度だけ横浜に車でデートをしに来た事が有ります。ベイブリッジを渡り、停めた駐車場が山下公園でした。】

 【目の前に観覧車がイルミネーションを輝かせて動いていました。カップルが多くて自然と手を繋いで歩く事が出来ました。周りを窺うとkissしているカップルが・・・これはチャンスだと思いましたね。無数のカップルの甘い雰囲気に充てられて、私達も・・】
 お酒のせいではないだろう?教授の顔が赤い。

 【夜の海に映る観覧車がゆらゆら揺れていてとてもロマンチックな雰囲気でした。が、お腹は正直です。ググゥ、と妻のお腹が鳴って私は思わず噴き出してしまい、ポカリと頭を叩かれました。】

 【中華街に行こうとしたら、8時頃なのにもう殆ど閉まっていて、仕方が無いので別の場所を、そこら中探してやっと見つけたお店で食べたのが、カレーライスでした。】

 【妻は・・・文句ひとつ言わずに、美味しいね、またここで食べようねと、言ってくれました。帰りの車の中で、ベイブリッジで写真を撮りたいと言い出したので、同じように車を止めていた列に習い、写真を何枚も撮りました。高速道路ですから駐停車禁止なのですが、橋のアナウンスを無視して撮って帰りました。・・・詰らない話でしょう?まるで初心な高校生みたいな話ですからね。】
 教授は自分でも可笑しかったのか、クスクス笑っている。
 『教授にも純なお年頃が有ったのですね。・・・良いなぁ、私も同じように恋人とデートしたいなぁ。』
 【夜の山下公園を散歩してみますか?・・・私と。】
 今日のご褒美ですよね教授?


【ドルチェ・アマービレ】(35)

 緞帳が上がっていく。心臓の鼓動も早くなっていく。
 (ダメ!・・・逃げ出したい。)
 高いステージから暗い客席を見下ろす。観客の全てが見知らぬ人達。
 (どうしよう。・・・もう直ぐ始まる。)
 空ろな目で観客席を俯瞰する。
 と、最前列の余り良い席とはいえない、はっきり言って舞台を見るには悪い席の所に美歌の姿を見つけた。
 美歌の目がニコニコ笑っているのが見えた。美歌は片手を肘の所から曲げ、掌を私の方に向けて見えるように小さく手を上げた。
 【人】・・・・大きく人の文字が浮かんでいる。その掌を舐めるような仕種も付け加えた。
 (あはははは・・・)
 私は声を出さないよう苦労しながら微笑する。
 スーっと緊張感が引いていく。肩の力も抜け、強張った頬も緩む。
 (ありがとう、美歌。)
 美歌はこの間教授に教わった方法の失敗例、掌に人の文字を指で書いて飲み、緊張を解すやり方。 
それを教授が、マジックで書いてしまった失敗を再現してくれたのだ。
 綾歌は、素早く掌に何かを書いて飲み込んだ。勿論観客も気付いただろう。しかし、そこは学生の事、微笑ましい眼差しで見てくれている。
 美歌が後で聞いたら、綾歌が書いたのは、『アンナ』
 『アンナ・ネトレプコ』の事だった。
 「きゃはは、あんた面白いわ。」 美歌が笑っている。
 アンナ・ユーリエヴナ・ネトレプコは、ロシア出身のソプラノ歌手で1971年生まれ。その卓抜した実力と美貌で現代を代表するオペラ歌手の一人である。
 「幾ら今回の演目が椿姫だからって、アンナにあやかりたかったの?きゃはは、綾歌かあやかりたい。ダジャレか?アンタ。」
 散々笑ってくれたが、本当にあやかりたい・・・・彼女を超えたいと思ったから、あの場面で書いてしまった。だから笑われても反論できない。

 折角だから、オペラ『椿姫』のデータを披露します。(誰に向かって話しかけているの?綾歌・・・美歌(談)笑☆)

 『椿姫』はジュゼッペ・ヴェルディの作曲。原作はアレクサンドル・デュマ・フィスの戯曲『椿姫』で、初演は1853年3月6日 ヴェネツィア、フェニーチェ座である。
 3幕に分かれ第1幕30分、第2幕60分、第3幕30分合計約2時間の歌劇である。
 主な登場人物はヴィオレッタ・・・パリの高級娼婦。
 アルフレード・・・田舎出の青年、ジョルジョ・ジェルモン・・・アルフレードの父。

 あらすじは、
『第1幕』
時は19世紀半ば、舞台はパリ。社交界一人気のある高級娼婦ヴィオレッタの館では華やかな宴が催されてる。この宴にやって来た青年アルフレードは、「乾杯の歌」を歌って場を盛り上げる。彼は以前からヴィオレッタに恋をしていて、二人きりになると、彼女にその気持ちを告白する。
ヴィオレッタは、娼婦である自分は本当の恋愛などに縁はないと思っていたが、アルフレードの純粋な愛の前にとまどうのだった。

『第2幕』
 ヴィオレッタは社交界を離れ、パリ郊外の家でアルフレードと静かに、そして幸せに暮らしていた。
ある日、アルフレードの留守中に、彼の父ジェルモンが訪ねて来る。
ジェルモンは、ヴィオレッタの娼婦という過去が、娘(アルフレードの妹)の縁談に差し障りとなるので、息子と別れるよう彼女に迫る。
ヴィオレッタは自分の真実の愛を必死で訴えるが、受け入れられず、悲しみの中で別れを決意し家を出て行く。
別れの置き手紙を読んだ何も知らないアルフレードは、彼女の裏切りに激怒したのである。
 その夜、ヴィオレッタはパリの社交界に戻り、かつてパトロンだった男爵に手を引かれて現れる。
彼女を追ってきたアルフレードは、ヴィオレッタが、男爵を愛していると苦しまぎれに言うのを聞いて逆上してしまう。
彼は社交界の大勢の人前で彼女をひどく侮辱して悲しませるのだった。

 ここで休憩・・・ちょっとトイレに行ってきます。・・・覗くなよ。

『第3幕』
 数か月後、ヴィオレッタは自宅のベッドで横になっていた。実は難病に犯されていて、自分の最期が近づいている事を彼女は悟って居た。
そして、今や死を目前にしている所へ、アルフレードが駆け込んでくる。全ての事情を父から聞いた彼は、彼女に許しを請いに来たのであった。
二人はまたいっしょに暮らすことを誓う。でも・・・・
時はすでに遅く、ヴィオレッタは過ぎ去った幸せな日々を思い出しながら、息を引き取ったのだった。

 オペラの王道を行く悲恋物語である。
 主人公が高級娼婦と言う事が引っ掛かるけど。・・・だって綾歌何にも知らない乙女だもん。
 皆さんが知っているアリアは、2人が歌う2重唱の『乾杯の歌』とヴィオレッタが歌う『花から花へ』でしょうか? ← (だからぁ・・・誰に向って話しているの?)

 今更ながらに思うけど、オペラって・・・・乙女には恥かしいストーリーですね。娼婦だなんて・・・・学生が歌う歌なのかしら? 
 あっ、ゴメンなさい。教授からお電話が・・・
 『はい、綾歌です。ハイ教授! 本当ですかぁ? 行きます行きます。スグに支度して降りて行きます。』
 今日のご褒美に食事に連れて行って貰う事になった。
 今夜は・・・・『椿姫』じゃなくて、シンデレラ?白雪姫?
 
 【第2幕へ続く】なんちゃって! (^◇^) 


【ドルチェ・アマービレ】(34)

 『教授・・・昨夜のは・・・・プロポーズ?・・・じゃないですよね?』
 綾歌はドキドキしながら教授の答えを待っている。
 多分教授の目には赤い顔をした私が映っている。
 意識しだすと止まらない。教授の眼の仕草、一つ一つが意味を持ったものだと思い込んでしまう。
 教授が椅子に腰を下ろす。私も釣られてフロアーにペタンと座り込んだ。
 教授がピアノの蓋を開ける。
 え?これはどう言う意味だろう?教授の事だからエッチな意味だと思う。脱ぐの?やっぱり上半身を脱ぐのね・・・・
 教授が鍵盤のカバーを剥ぎ取る。
 恥ずかしい・・・下半身も・・・生まれたままの姿になるのね?
 私は恥ずかしくて堪らなかったけど、教授の仕草に従った。
 教授が私の方を向く。
 あ、あぁ・・・恥ずかしい。
 【・・・何で裸なのですか?綾歌君・・】
 教授が不思議そうに聞く。
 『え?だって・・・教授が・・・』
 【ふぅ・・・綾歌君また君は妄想しましたね。ここの所妄想がエスカレートしていますよ。】
 『でも、教授・・・昨夜の事は・・・永久就職のお話は・・』
 【は?何の事ですか?昨夜?私は昨夜帰宅しませんでしたよ。】
 『嘘です。・・・お庭のあの家屋での事は?・・・教授と聖さん・・三船さんとの事は?』
 【庭の家屋?聖?三船?どうしたのですか?庭に家屋は有りませんよ、見て御覧なさい。】
 うそ?なんで?どうして?
 『じゃあ、あれは何です?きょ、教授が聖さんを・・・三船さんの前で嬲って居たのは?縛ったり、叩いたり・・・聖さん・・あんあん、気持ち良さそうに・・』
 訳が分からなかった?私は鮮明に覚えているのに、教授は恍けているのだろうか?
  私の携帯が鳴る。表示画面を見ると美歌からだった。教授に断りを入れ携帯に出る。
 「やっほー。綾歌・・元気している? あんたドジったんだって?昨夜教授に聞いたわよ。あつそうそう、教授にお礼言っておいてくれる?昨夜教授にレッスンして頂いたんだぁ。深夜なのに皆感謝していますって。」
 『え?どう言う事。教授と深夜レッスン?』
 ますます戸惑う私。
 「夏休みの最後にオーディション受けるって、前に話したよね。教授が気に掛けてくれていて、受ける者全員に特別にレッスンしてくれたのよ。その上激励会と称してお酒をご馳走になったの。今夜だけ特別だと仰って。お酒で喉を傷めるような飲み方だけはするなと釘も挿されたけどね。色々お話しして下さったわ。オーディションの審査ポイントとか、掌に人の文字指で書いて飲む話とかね。でも笑っちゃうのよ。人の文字マジックで書いてしまった事が有るんだって。」
 美歌との通話が終わった時には眩暈を感じた。
 自分がおかしくなったと思った。
 【綾歌君は性的な欲求不満を感じているのだよ。思い通りにならないか、抑えているも事が有っても解放出来ないからか、少なくとも抑圧された欲求を脳が感じて妄想を見せたのだろうね。】
 抑圧されたもの・・・思い通りにならない事・・・・一つだけ有るのかも知れない。
 『・・・・教授・・・・1度で良いんです。・・・・・綾歌を・・・・私を抱いて下さい。私を・・・・教授の・・・奥さんに・・・して・・・下さい。・・・・』
言ってしまってから、自分の抑圧された思い・・・願望が何なのか、自覚した。
 【綾歌君・・・・】

 『な~んて!教授ぅ・・・冗談ですよぉ。・・・』
 あれ??可笑しいな?・・・目から汗が・・・
【冗談・・・・ですか?・・・ガッカリですね。私は本気にしたのですが・・・女性からプロポーズされたのは初めてで、凄く嬉しかったのですが・・・ん・・むぅ。】
 綾歌が教授に飛びついて、もつれる様に二人は床に転がった。
 仰向けに倒れた教授の上に四つん這いで圧し掛かる綾歌。綾歌の両手は教授の両肩を押さえ付け、腹部に跨っている。
 『バカバカ馬鹿!教授のバカ。・・・私の気持ち分かっているくせに。』
 矛盾している。
 自分で冗談と言っておきながら教授を責めている不条理。
 ダメダメ・・・こんなの綾歌じゃない。・・・綾歌はもっと真面目でひょうきんで可愛い女の子なのに。・・・・
 嫉妬や恋に狂う女だったの?
 先輩に憧れていたのに、こんなオジサンを好きになってしまったの?

 だって・・・教授は大人で・・・お世辞にも先輩よりも格好が良いとは言えないけれど・・・でも・・・・格好が良い・・・私にはそう見える。
 教授の傍にいるとハラハラドキドキの連続で・・・とてもエッチで・・・・気持ち良くて・・・色々な事を教えてくれて・・・・何より私を大切に扱ってくれる。・・・好き。好き。好き好きすき、だぁ~い好き。
 【綾歌君・・・・声量を増やすには体重の増加も致しかた無い事ですが・・・できれば今は・・・ダイエット中の方が良かったと思いますよ。】
 意地悪な所も・・・・好き。・・・・・優しい意地悪だから。
 教授の煩い口を私の唇で塞いでしまう。
 暫くそのままで居た。
 夢中で教授の唇を貪る。両手は教授の頭を抱き締め髪の毛をグチャグチャにしてしまう。
 一息つく為に唇を離す。二人の唇の間に銀色の糸が繋がっている。・・・・詩的な表現をしてみる。綾歌・・・余裕が有るのね。自分で自分を褒める。
 【綾歌】
 教授が呼び捨てにする。あの妄想と同じだ。もしかしてこれも妄想?一瞬疑ってしまう。
 【こら!おイタは駄目ですよ。・・・定期演奏会のオーディションに合格してからこの続きをしましょう。それまではお預けです。】
 『そんなぁ~教授ぅ・・・』
 【私の夢は綾歌を世界の歌姫にする事。そして、夢の続きは・・・・その歌姫を私のモノにする事。と言ったら納得しますか?】
 『約束ですョ教授。・・・私を歌姫にする事も私を教授の・・・教授だけの女にしてくれる事も。してくれないと・・・綾歌泣いちゃうから。』
 もうまるで恋人同士の会話だ。
 それが嬉しかった。
 【だから・・・綾歌を抱く訳にはいかないのです。一人前の歌姫になるまで、少なくてもオーディションに合格するまでは・・・君はお子ちゃまですから。私はお子ちゃまは抱かない主義ですからね。】
 抱かれる為に頑張る。・・・・真面目に考えたら凄く恥ずかしくて、女の慎みに欠ける行為だと思う。でもその時は、ううん今でも悦びは有っても後悔も恥じらいも全然起きない。むしろ・・・・やめた。
 これ以上教えてあげない。だって・・・大切な想いだから。私の、私だけの大切な大切な想いだから。

 秋・・・・・私はステージに立って居た。 歌姫の卵として、ステージの中央にいた。


【ドルチェ・アマービレ】(33)

【綾歌君は、本気で音楽に打ち込めますか?】
 翌日、教授のレッスンを朝から受ける事になって、一通りの発声練習を済ませた後に聞かれてしまった。
 『はい、教授。私・・・今までは何所か真剣で無い所が有りました。でも、昨夜の様な寂しくて切ないのは嫌です。愛されるのに資格が必要で、それが音楽だと思ったら、浮ついた気持ちで居られません。真剣に音楽と向き合います。』
 教授はニコリともしない。
 【綾歌君、例えば日本にはプロのオーケストラが幾つ有るのか知って居ますか?】
 ええと、確か。
 『23団体です。日本オーケストラ連盟に加盟のプロオーケストラは全部で23団体あります。本拠地は札幌、仙台、山形、高崎、横浜、金沢、京都、広島、福岡にそれぞれ1つずつ、東京に8つ、名古屋に2つ、大阪に4つあり、これらのオーケストラが平均して年間約130回の演奏会を行っています』
 【では声楽家は?プロの声楽家として活動しているのは?ソプラノだけで良いです。】
 『ええと・・・・』
 【約1,400人です。どうですか、多いと思いますか少ないと思いますか?】
 教授は何が言いたいのだろう?
 今日の教授は何時もの様な優しい感じがしない、何故なのかしら?
 【現実的な話を今日は綾歌君にお話しします。日本の楽団員の生活が楽でないのは定評があり、アルバイトをしている人も多いのです。楽団のほとんどは終身雇用制だから50人、100人を抱えるとなれば人件費は馬鹿になりません。日本音楽家ユニオン2003年調査によれば、最高額はN響の年額1000万円(45.3歳)、続いて読売日響767万円(43.6歳)、都響733万円(45.5歳)と御三家がトップに並びます。低いほうは関西フィルの220万円(特別契約などを除く、40.9歳)、山形交響楽団の383万円(38.2歳)などです。400万~500万円台が一般的な所です。】
 何とも生々しい話。
 【では楽団の収入は? ほとんど演奏会収入に限られます。それも両チーム合わせて50人程度の選手で最大5万人の観客を相手にするプロ野球などと違って、オーケストラの場合、少なくても50~60人、多ければ100人を超す楽団が演奏を聴かせるのは、せいぜい1000人から2000人。桁違いに効率が悪く、定期演奏会のたびに数百万円の赤字が出るのが実情なのです。このため台所事情は火の車で、とくに近年は長引いた不況が加わって経営母体からの財政援助も細りがちです。安泰と見られた自治体支援の楽団も補助金削減が相次いでいます。札幌交響楽団は平均50万円の賞与カットに続いて本給の7%、退職金25%を削減されました。名古屋フィルも愛知県、名古屋市の双方からの助成金が削減され、神奈川フィルも一時金カット、給与の削減が続いていると聞きます。
 そして御三家の一角、東京都交響楽団では、2005年5月から終身雇用制に代わって契約楽員制度(3年間)が採用され、能力・業績評価による年俸制に移行することになったのです。契約楽員制はアンサンブル金沢が2003年に導入していますが、能力・業績評価を取り入れられたのは初めてのケースです。

 石原都知事が就任以来進めてきた財政再建策の一環で、楽団への補助金3割削減、楽団定員の90人への削減などに続く措置です。このため都響の楽団員は5月にいったん退職し、首席・副首席奏者は全員契約楽員に、他の奏者は契約楽員になるか終身雇用かを選択することになりました。年俸制の本給は終身の場合、契約より120万円~70万円低く設定されており、40歳で契約楽員なら670万円、終身では600万円になったのです。ま、これは記事の引用ですが。】
 教授の話はあまりにも現実的で、日本の現実を突き付けて居た。
 好きな音楽をするために、みんなが苦労する時代。
芸術とは人にとって何なのだろう?
 貧しい生活の中に芸術は生まれず、花も咲かないのだろうか? いいえ、そんな筈は無い。
 人の心を豊かにするのが音楽だと思う。
 【声楽の仕事も同じです。コンクールで優秀な成績を残した者などほんの一握りの者だけが思うような演奏、歌を歌えるのです。】
 『違うと思います。お言葉を返すようですが教授の言われた事、私は納得出来ません。音楽はお金でするのですか?お金が無い者は音楽をする資格がないのですか?音楽は人を愛するのでは無くて、お金を愛するのですか?・・・・・全然納得出来ません。』
 『そんな音楽なら続ける積りは有りません。』
 うわ~、言ってしまってから、自分の切った啖呵に驚いてしまう。
 教授に叱られる。思わず首を縮めた。
 【パチパチパチ!】
 教授が拍手をしている??
 【綾歌君、大変良く出来ました。花丸あげましょうね。】
 教授はクスクス笑って言う。
 【まあ、その気骨が有ればこの先に進んでも大丈夫でしょう。もし駄目だったら、その時には、私の所に永久就職すれば良いのです。】
 『え?えっ?え~~~~』


【ドルチェ・アマービレ】(32)

 『もう止めて。おかしくなる、お義父さま・・・助けて・・』
 聖さんの声が切羽詰まったものになる。全身に痙攣が起き始める。
 教授の指が何処か急所を触ったらしい。聖さんのカラダが跳ね下半身が暴れだす。
 教授はその動きを抑え込み更に執拗に秘所を弄っている。
 太股を伝い流れる愛液がサラサラしたモノから粘つくモノに変わっている。
 『アウッ、アアッ・・・アッ、ウー・・・』
 もはや言葉の意を呈していない。呻き声だけが室内に鳴り響く。
 突然カラダがピンと張り詰め深いため息とともにドサっと弛緩した。
 聖さんは、無理やり教授に開かされた足を閉じる力も無く、グッタリとしている。
 聖さんのアソコだけがヒクヒクと動きを見せ、蜜液を垂れ流していた。
 その格好のまま、教授は三船さんに見せ付けている。
 【聖、三船も心配しています。もう止めましょうか?】
 『・・・・・』
 答えられない聖さんは、顔を捻じ曲げ三船さんを見た。
 三船さんは声を殺して泣いていた。身動き取れないカラダに涙が毀れている。
 それなのに三船さんの男根は大きくなっていた。
 聖さんが這いつくばったままにじり寄り、三船さんの大きくなったオチン○ンに頬ずりする。
 その聖さんのカラダを教授は無理やり引き離し、届きそうで届かない位置に据え直した。
 『ああ、いやぁ!お義父さま・・・』
 教授の手が聖さんの胸を握り締め、力を込めて絞る。
 痛みに背中を丸めた聖さんはお尻を教授に向けた格好になってしまった。
 すかさず教授が聖さんのお尻に顔を埋める。
 直ぐにピチャピチャと濡れた音が響く。聖さんの腰が蠢き左右に振られた。
 その動きは嫌がる動きでは無い。
 『た、拓人様・・・気持ちイイ。・・・・気持ちイイです。あぁ、イイ。』
 聖さんの声は艶めかしい響きを湛えている。
 聖さんは手を一杯に伸ばし三船さんのオチン○ンを握り上下に擦っている。
 その動きは教授の動きと連動しているように見える。聖さんの受ける刺激を手に伝えている様子だ。
 【そろそろ欲しくなりましたか?】
 教授の問い掛けに今度は躊躇いも見せず聖さんは答えた。
 『ほしい・・欲しいです。・・・下さい拓人様。拓人様のオチン○ンを聖に下さい。我慢出来ません、お願いします。』
 気の強そうな聖さんは何処にも居ない。
 【おやおや、三船を差し置いて私が聖を抱いても構わないのですか?】
 教授がまた言葉で苛める。
 聖さんは判って居て、そんな事を言う教授に恨めしそうな目を向けて言う。
 『お義父様の事は言わないで、聖を黙って抱いて下さい。』
 【でもねえ、三船が見ている前で抱かれても構わないのですか?それとも三船の前だから抱かれたいのかな?】
 聖さんの顔色が一瞬だけ暗くなった、が、何かを吹っ切ったように一つ頷くと聖さんが答えた。
 『・・・お義父様の前だから・・・お義父様に見て頂きたいから・・・抱いて下さい。』
 躊躇いを捨てた聖さんに教授が追い打ちを掛ける。
 【お上品に答えるのでは無く、私を悦ばすように言いなさい。】
 教授が何を求めているか聖さんは瞬時に悟ったらしい。
 しかし、流石に暫く押し黙って居る。その間にも教授の舌が聖さんの股間を刺激している。
 また一つ頷いたあと、聖さんが言う。
 『オマ○コ。・・・・オマ○コして下さい。聖のイヤラシイ、オマ○コに拓人様の・・・拓人様の大きくて硬いオチン○ンを・・・下さい。・・・嵌めて・・オチン○ンを打ち込んでぇ・・・』
 聖さんは普段の落ち着いた大人の女性の顔を脱ぎ棄てて、情欲に溺れる淫乱な貌を覗かせていた。
 【尻を高く掲げて。両手で良く見えるように尻肉を拡げなさい。】
 聖さんは首を私の方に捻じ曲げて顔を床に付け、胸まで床に付けお尻だけ高く掲げ、両手で左右のお尻の肉をそれぞれの手で拡げた。
 私の方に向けられた顔の中で、勝ち誇ったように目が輝き唇が舌で舐めまわされる。
 【いくぞ。】
 教授の手が聖さんの腰を掴み腰が少し前に突き出され・・・・教授のオチン○ンが狙いを定めるように、上下左右に振られる。
 聖さんのカラダが小刻みに揺れ、期待に慄いて居る。
 
 『きゃぁ!』
 ドシンと言う音と共に聖さんが横倒しに倒れている。
 教授は尻もちを付いて居た。
 『いやぁ!。。。教授はダメェ。。』
 綾歌が2人の間に飛び込んで居た。正確に言うと教授の胸に飛び込み聖を弾き飛ばしたのである。
 『教授は・・・教授は聖さんには渡さないもん。ひっく、ひっく、渡さないもん。』
 綾歌は教授の胸に額をお押し付け、泣いている。
 聖は欲情に濡れた顔に怒りの表情を浮かべて綾歌を睨みつけたが、綾歌の泣き顔を見て一つ大きなため息を付き、諦めたような表情になる。
 綾歌の髪の毛を優しく撫でる手が有る。
 大きいが繊細な指の持ち主。
 教授の手が何度も何度も綾歌の髪の毛を撫でる。まるで愛撫の様な動き。
 優しく撫でられて居る綾歌の涙がやがて止まる。
 不意に綾歌が顔を上げ、教授の顔を下から真っ直ぐ見つめた。
 『教授、教授、教授。・・・・・私、わたし・・・・』
 教授が綾歌の頭を抱き抱え自分の胸にギュッと押し付けた。
 【黙って。何も言わなくていい。・・・・綾歌。】
 教授が初めて君無しで呼ぶ。呼ばれた綾歌の胸に不意に暖かいモノが溢れ、また涙を浮かべた。
 抱き締められている教授の腕の力が強くなり、押し付けられた胸の奥で、心臓の音が大きくなった気がした。
 【この次のオーデションには絶対受かるのですよ。】
 『はい♪教授❤』
 すっかり機嫌が良くなった私が居た。


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プロフィール

HIRO(S)

Author:HIRO(S)
HN:HIRO(S)
年齢:秘密
性別:秘密
地域:関東地方
動機:gooで削除されたので。
一応フィクションとしてますが、ナイショ
写真は・・・・いけないんだぁ

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