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【妻の秘密・義妹の秘密3】(2)

 2年前のあの日、真樹が復讐の罠に落ちた日、その日は薫と彩香の記念日でもあった。
 姉妹の重婚記念日・・・世間的には罪な行為では有ったが、当事者たちには忘れられない日であった。
 正式な妻の薫が5年振りに許され、内縁の妻となった彩香と心がつながった日、同じ日に真樹は地下室に繋がれていた。
 真樹は辺り、を見廻したが誰に姿も無く放置されている。
 股間から機械音がする、モーターの音が耳触りだ。
 しかし、機械は容赦なく真樹を責める。両の乳首にはピンクローターがテープで固定されていた。
 『あっくぅ・・・ああん・・あっ、あっ、ぁう。』
 情け容赦の無い責め。乳首はその刺激に耐え切れず、硬くしこり勃起している。
 胸の谷間は汗で濡れ、滴が臍の方へ流れ出す。その先には、ピンクローターより大きな機械、マッサージ機・・電マが、圧倒的な振動を真樹のクリトリスに絶え間なく与え続けている。
 『ひぃぃい・・あぁぁ・・くうぅ・・あがっ・・ぉぉおぅぅうう。』
 さらにその下には真樹の膣口を張り裂かんばかりの、巨大なバイブレータが膣を征服している。クネクネ膣中で頭を振り壁を掻き回す。
 時折子宮に機械の頭が当たり、真樹を狂わす。
 3か所も責められ、最早意味のある言葉を発せられない真樹にとどめの様に、アナルからの刺激が襲う。
 真樹の肛門は、細いアナル用バイブレーターが穿ち、薄い壁を隔て、膣中のバイブレーターとその覇を競い合っている。
 そこに別の回転音が響く。
 子供の玩具のバッティングマシーンがその腕を振る。
 先端にはバラ鞭が装着され、一定のリズムで真樹の乳房を打つ。
 『バシーン・・・・・・バシーン・・・・・・バシーン・・・』
 『ヒィイ・・・・・・嫌ぁ・・・・やめてぇ・・・・』
 痛みに意識がはっきり戻った真樹。その口から哀願が洩れる。
 『ぐうう・・・がぁあ・・・あぁん・・・ヒィイ・・・狂う・・・狂っちゃう。』
 『お願い・・・もう止めて・・・カラダが壊れる・・・・アソコが・・・壊れちゃう。』
  襲いかかる快感と苦痛に真樹は、女の矜持を捨て晃一に哀願している。
 真樹の股間は、漏らした愛液と微妙に違うサラッとした液体、そしてアンモニア臭のする液体でグシャグシャになり、床に水溜りを形成していた。
 真樹に顔は苦痛と快感と涙で彩られ、噛み締めた唇から流れた血が固まり唇にこびり付いている。
 乳房は赤く腫れ上がり無数の赤い蚯蚓腫れが走っている。
 幾度も叫び、哀願し、許しを請っても、答えは返って来ない。
 真樹は、何度か失神し、意識が強制的に戻らされる、地獄を味わっていた。
 何度昇り詰めても、真樹のカラダは逝かされ、全身の穴と言う穴から液体を絞り出され軽い脱水状態に陥っていた。
 頭上からホースが降りて来た。
 水流が勢いよく真樹の口に注がれる。
 叫び呻いた口は、カラカラだったので喜んで貪った。しかし、水流は何時まで経っても止まらず、今度は溺れる恐怖を真樹に与える。
 このまま死ぬのか?
 真樹がそう考えた時、水流がピタリと止まり。カラダに仕掛けられた機械も動きを止めた。
 遠隔操作が出来るように改造されていたのだ。
 地下室に人の気配がした。
 複数の息遣い。
 【真樹・・・どうだ。堪能したか?】
 無慈悲な声、これがあの晃一の声音だろうか?あの優しかった晃一が復讐の鬼と化し、責めたてる。その事実に改めて晃一の怒りを感じる。
 『ぁぁあ、お願い。もう許して、お願いだから。』
 『晃一様、晃一様のおちん○んで真樹を逝かせて下さい。機械は嫌ぁ。晃一様になら、晃一様のどんな命令でも聞きます。だから機会は許して下さい。真樹の口も、乳房も、お尻も、お、オマ○コも、アナルも晃一様の好きに使って下さい。』
 【どうして薫を・・】
 『何でもお話します。私は、初めて晃一様にお逢いした時から・・・気になっていたのです。私は誰からも称賛される女でした。どんな男も私の前ではオドオドして眼を伏せるか、欲望を剥き出しにして話しかけられる女でした。でも、私はレイプされてから、男嫌いになっていて、冷たくあしらうプライドの高い男を見下すだけの女。氷の女王と言われた女です。晃一様にもそんな目で見られると思っていました。それが・・・』
 『晃一様は私の事をごく普通に部下として扱って・・・悔しいような嬉しいような複雑な思いをさせられたのです。晃一様は私を女として見てくれないの?と哀しくなった時も有ります。どんどん貴方に惹かれ、心が傾くのを感じていました。』
 真樹は目を瞑り何かを思い出すかのようだった。
 『でも、私は・・・男にレイプされ汚れた女。二度と男の人に愛されないカラダになってしまった。こんな女好きになっては貰えない、たとえ抱かれてもあの時の恐怖が甦り拒絶してしまう。苦しみました。本当に苦しかった。あなたを知れば知るほど欲しくなる、なのにいざその時には拒否してしまう恐怖、哀しみ。自分のカラダを呪いました。あんなケダモノに負けてしまった。でも、あなたに何とか近づきたくて、思わずその当時の恋人だった薫を・・あなたに供物として捧げたいと思うようになって・・・自分の大切なものを捧げる事に、取りつかれてしまったのです。精神的におかしくなっていたのでしょう。』
 眼を開けた真樹は、薫を無意識に見つめる。
 (真樹は薫が憎くてあんなことをしたのではないのか?薫を大切なものと言った。)
 『抑えきれなかったのです、自分の身代りに薫を晃一様に抱いて貰い、その様子を我が事のように感じる。そんな倒錯的な事を計画しました。その時晃一様に中出しされるように言い付けました。そしてそのままシャワーも浴びずに私の所へ来るように命令し、薫の膣中に晃一様の精液を溜めて・・・それを私が啜り、貴方に抱かれた気分に浸っていたのです。変態女と笑って下さい。』


クロウエア・エクサラダ【28】

 『ングッ、フゥゥン、ハァン・・チュパ・・ジュプ・・ズズッ・・ハァ~。』
 香織のフェラチオに気持ちよくなる健一、だが口を衝いて出た言葉は。
 【俺の知っている香織はこんな事をしなかった。一郎さんに仕込まれたんだな。あの清楚な香織が。こんなに淫らになって・・・】
 『あぁ・・ゴメンなさい。』
 香織は銜えたチ○ポを離し、俯いてしまう。
 【何だ、もう止めるのか?一郎さんのじゃないからか?】
 香織は首を左右に振り否定する。
 『そんなこと有りません。あなたがイイの。もう二度とあなた以外の男の人は嫌。』
 そう言い放ち、先程より深く健一のチ○ポを銜え、喉の奥で健一を受け止める。
 『ウングゥ、ウグゥ、』
 【香織、お前の決心が本物かどうか。俺の言う事を聞ければ信用してやる。お前のクリトリスにピアスを開ける。乳首にもな。出来るか?】
 『そんな、カラダに傷を付けるなんて・・・無理です、それに怖い。』
 【香織がピアスを付けていたら、他の男も手が出せないだろう。それともオマ○コに刺青を入れるか?健一命とか?どちらか選べ。】
 『それ以外の事なら何でもします。ピアスも刺青もいや。』
 【あれもいや、これも嫌。ではどう証明する?言葉では信用できない。まさかオマ○コの毛を剃る位で信用するとは思うなよ。永久的におれの所有物の証しを付けないと信用できない。】
 『あなた、どうしてそんな頑ななんです。最初は一郎さんに私を抱かせたのに、あなたが言うからしたことなのに。』
 【抱かれろとは言ったが、心まで奪われて良いとは言っていない。】
 『そんな、今更言うなんて・・・女は例え嫌いな男でも抱かれ続けると、だんだん情が湧いて来るんです。まして、憎からず思っている人なんです。好きになっても仕方が無いと思いませんか。』
 【だから、香織の好きなように出来るように離婚してやる。そう言ったはずだ。】
 『酷い。私を試すの?どちらを選ぶのか?』
 【そうだ、別れる気が無いのならなぜあの時直ぐに戻って来なかった。俺に復讐する積りだったのか?ほとぼりが冷めるまで逃げていれば良いと思ったのか?あの時確かに寝取られる事に興奮はしていた、だが実際に寝取られ、相手の子まで儲けようとした事までは許していない。その事がどうしても引っ掛かる。あの火俺が行かなければ香織は妊娠していただろう。そんな事許せるか?いくら俺たちの計画を知らないからと言っても、そこまで俺を裏切って置いて、簡単に許せるか?】
 夫が、こんなに怒りに狂い思い詰めていたのか初めて知った。もうやり直しが効くと言う段階を過ぎている。香織は絶望した。
 【妊娠していたら、たとえ堕胎しても香織のカラダにも、心にも傷が付く。それに代わるほどの傷は刺青やピアスだ。】
 健一は狂いだしたのか?健一をこんなにしたのは自分。このまま別れても、健一の心は傷ついたまま。
 一生掛かっても償うには、夫の思う通りにするしかないのか?それで夫は治るのか?
 夫を愛しているから、夫の好きにさせよう。それで治ってくれるなら・・・
 『ごめんなさい、あなた。私が悪いのです。ピアスでも刺青でも何でもあなたの望むとおりにします。だから離婚はしないで。』
 【最初からそう言えばいいんだ。今はまだ俺たちの子供が居ないから刺青もピアスもする訳にも行かない。その気持ちだけで十分だ。・・お帰り香織。】
 やはり夫は少しおかしくなっている。
 『あなた、明日病院に行きたいので一緒に言って下さい。』
 初めて早智子が声を出す。
 『香織さん、私達も帰り道だから一緒に病院に行っても良いかしら。』
 「健一君どうせなら、車は私が出すから1台で行こう。」
 二人も異変に気が付いていたようだ。
 【そうですか・・・香織、病院には何を?】
 『あ、うん。修道院で傷付けた背中が痛むの、出来たらA大学病院に。』
 【ふ~ん。判ったよ。】

 翌日、無理やり夫を受診させた。
 「ご主人は。軽度のBPD.境界性パーソナリティ障害かもしれません。例えば・・・。愛情独占欲求が過度に強く常に誰かとつながっていたいと願う、嫌われたり捨てられるのではないかという恐怖心や猜疑心から攻撃行動をとりやすい、ときに自ら嫌がられるようなことをわざと行ない、「ほらやっぱり私を見捨てた」などと相手を困惑させるなどがあります。がご主人の場合幸い、自傷行為がない。」
 「しかし・・BPDの患者さんの多くは周囲のちょっとした状況の変化や要求が通らないことに我慢ができず(欲求不満耐性が低いと表現されます)、この安定は脆く崩れやすいといえます。また抱えている不安感の反動として、自己の誇大感を増大させることもあり、これが自己愛性人格障害となったりします。また対人関係の不安定さから逃れるために、いわゆる引きこもりのような状態になる場合もありますが、この場合は、回避性人格障害と診断されることが多いようです。BPDの患者さんは、一時的に衝動的な激情によって周囲を脅かすことはあっても、周囲に対して迷惑を掛けたことをのちに反省したり、泣いて謝罪したり、自責したりすることが比較的多いので事件なることは少ないようです。しかし、暴力などの他害行為があった場合、一見人が変わったように見えたり、常軌を逸した様子を見せるかもしれませんが、現実検討能力はまず失われないとされています。」
 医者の説明は難しく、中々理解出来なかった。
 『それで・・主人は治るんですか?
 「それはまだ・・・詳しいカウンセリングをして、どこにその原因が有るのか調べなければ、何とも言えません。奥さんはご主人の幼児期の環境をご存知ですか?」
 『いいえ、あ、でも・・・主人の亡くなった母が・・いえ、一緒に住んでいたのではなく離婚されたのですが・・その母が3~4歳の頃、不倫の末、子供が出来て出て行ったそうで・・あっ!』
 似ている、自分がしてしまった行為が似ている。
 夫はそれが耐えられなかったのか。2度目のショックで発症したのだろうか?
 「一般的に長期の治療期間が必要だと言われています。5年や6年などの例も非常に多い。心理的療法(カウンセリング)と薬物療法を併用し行います。」
 
「周囲の方(最近ではノン・ボーダーと称されるようです)の患者さんへの対応としては、周囲がまず安定し幸せになることです。患者さんはそれを見習い、やがて取り入れ、安心して健全な精神を取り戻します。穏やかで安心感が持てる家庭や職場、学校を築くよう努めて下さい。犯人探しも禁物です。また、患者さんの欲求や一人になることへの不安に対して共感的理解を示す一方で、明確な限界を設定し(例えば夜何時以降は電話しない、ここまでは許せるけどこれ以上は許せない行為だ、など、これらは「限界設定=リミット・セッティング」と呼ばれ最近とくに重要視されています。)、一貫性のあるはっきりとした態度を維持することがよいとされています。つまり、健常者に対するものと同じような常識的な対応が必要です。「できることをやり、できないことはやらない。深追いはせず、拒絶もしない」というのが長続きするコツであると言われています。また、知らず知らずのうちに周囲が患者さんを依存的にさせ(とくに母親または母親的存在による過保護、過干渉)、無理な要求などをエスカレートさせてしまうケ-スも多いので、適切な距離感と客観性を保つことが重要です。また、言動や行動などがコロコロと変わり予測がつかないこと、頻繁に常識を逸脱するようなことを平然とやってのけてしまうことが多いので、そうした言動や行動に振り回されたり、一喜一憂していると周囲はへとへとになって疲れきって次第に対応もなげやりになってしまがちです。ノン・ボーダーの方の代表的な声としては、「何とかして助けてあげたい」、「実は自分も相当辛い」、「本当に病気なのだろうか」の3つが挙げられるそうです。まずは、周囲の方々はご自身のこころと身体を少しでもゆっくりと休ませてあげてください。」
 さらに説明が続く。
 「大っ嫌い、行かないで」がボーダーの最大の特徴です。それは、安らぎへの希求と不安定な状況への嗜癖性という相反するこころの状態の並存を意味します。周囲は、その言動に振り回されず、大地のように動じず、そばに寄り添い、味方であることを永遠に訴え続ける努力が必要です。動じない=存在を認めないということではありません。動じないことで、ある程度の攻撃を受けるかも知れませんが、それを上手にかわしていく方法を見つけだすように努力してください。「BPDの患者さんから向けられた言動は、あなたへの個人攻撃とは取る必要はない」ということを理解すべきだと言われています。なぜなら「彼らは現実と空想の区別がつきにくいところがあり、目の前のあなたに対して投げかけている言葉でも、あなた以外の誰かを心の中に思い浮かべて言っている可能性があるから」だそうです。
 具体的には、自分がとても理不尽なことを要求されていると感じたら、いきなり遠ざかるのではなくて、時間的にも距離的にも少し間を置いて接してみることです。目安としては「遠すぎず少し近め」がよいとされています。イギリスの精神科医のバリントはBPDの患者さんへの対応について、「大地のように、水のように、患者さんに接し、地のごとく支え、水のごとく浮かべ、患者さんの激しい行動に耐えていると、いつしか患者さんは新しい出発点に立つかも知れない、そうはならないかもしれないが少なくとも害はない」と述べています。また、「BPDの患者さんに対しては壁(あるいは鏡)になれ」とか「目の前に落とし穴があっても、それに気付かぬ振りをして患者さんがそこに落ちても自力で這い上がるのを暖かく見守れ」などといった心構えを持っている治療者も多いようです。」

 「いずれにせよ、激しい言動、行動にばかりに目を奪われず、こころの底を見つめ、こころの裏の隠されたメッセージに耳を傾ける姿勢が何よりも重要だといえます。自傷行為、自殺企図などが見られた時も、周囲の方は、下手に慰めたり、励ましたり、叱ったりせず、何も言わずただ側に寄り添ってあげたり、抱き締めてあげて下さい。彼らは、そうした穏やかで暖かい愛情を求めているのです。周囲は、甘やかすことと愛情を注ぐことの区別さえしっかりつけることだけ心掛けていればいいのです。本人に治そう、良くなろうという意志さえあれば、BPDは必ず治るものです。どうか、希望を持って、安心して下さい」

 『香織さん・・・』
 『大丈夫、早智子さん。夫は必ず治るわ。だって、私を深く愛してくれているから、こうなったんですもの。私も夫へ愛を注ぐの。』
 【何かあったらいつで言ってくれ、すぐに飛んでくる。】
 『はい、一郎さん早智子さん。健一を見守ってね。お願いします。』
 
 【パパぁ。早く早く、ママが待っているよ。ねぇ、3人でお手て繋ごうよ。】
 「健一郎・・危ないぞ。走らないで、ママはどこにも行かないから、慌てないで。」
【だって・・・僕に妹が出来たんだよ。早く見たいよ、可愛いんだろうなぁ。】
 『あなた・・・ただいま、健一郎お利口にしていた。』
 【うん、僕パパとずっと待っていたんだ。ママが病院から帰ってくるの。淋しかったんだから。】
 『あらあら、健一郎はお兄ちゃんになるのよ。でも・・・ママに一杯甘えてね。あなた、健一さん。この子をお願い。健一郎を抱っこしたいの。』
 【大丈夫か、香織。疲れているだろう。】
 『ううん、健一郎もこの子も、健一さん、あなたとの間の大切な子よ。』
 【・・・・一郎さんに聞いたよ。・・・ずっと、迷惑を掛けていた。ごめん。・・早智子さんが家で赤飯を炊いて待っている。帰ろう、我が家へ】
 『ええ、あなた、私達4人の新しい家ね。』

 あれから、5年の月日が流れていた。その間に健一郎が生まれ、いま新たな命が誕生した。健一は、親子3人を見つめ穏やかで優しい笑顔を見せている。
 治療が始まって、ようやくここまでたどり着いた。
 香織は、涙を流しこれまでの軌跡を思い出していた。だがそれはもう過去の事。これからが大事である。と思いなおした。
 家には鉢植えが有る。夫が育てている、クロウエア・エクサラダ・・・花言葉は「遠い記憶」そして「願いがかなう。」
 【パパママ、赤ちゃん。ほら僕らの家だよ。】
 健一郎の元気な声が庭に響く。一陣の風が鉢植えを揺らしていた。(完)


【妻の秘密・義妹の秘密3】(1)

 カッ、カッ、カッ、パンプスの音も高らかに一人の女性が廊下の中央を闊歩して行く。
 彼女が歩みを進める度に人垣が左右に分かれて行く。
 一人の男がその彼女に近づいて行く。
 「あのぅ、星野常務今度の役員会に掛ける案件なのですが・・」
 常務と呼びかけられた女は、男を一瞥し、直ぐに前を向くと言い放つ。
 『人事部長、廊下で話す事じゃあ無いわね。判っているでしょう。後で私の部屋に来なさい。10分だけ時間をあげる。』
 歩みを止めずにいた女は、自分の部屋に入る。
 女の執務室はこのビルの7階に位置し、東南の角部屋で見晴らしが良い。部屋の前室が秘書室でここの許可が無ければ中に入れないようになっており、執務室の一部が仮眠室を兼ねたベッドルームに改造されていた。
 「常務、今日のスケジュールです。9時に三峡製薬副社長と面談、10時に独バイエル製薬CEOと面談、11時から開発会議。12時に厚労大臣と会食、14時まで第2工場の視察、15時から17時まで市民団体との懇談会、18時マスコミ取材。20時から」
 『もう良いわ。・・・ねえ、私に自由な時間はないの?もう半年休み無しでしょう。いい加減にしてよね。』
 彼女は行き場のない怒りを秘書にぶつけていた。ヘッドハンティングされ移って来た。
 最初は研究所長の筈だったが、ふたを開けて見たら重役だった。事務処理能力も人一倍有った為直ぐに研究担当兼務の常務に昇格した。以来半年休み無しの状態だった。
 彼女に移動を進めた人が居た。その人とも都合2年程逢っていない。
 「常務、お気持ちは判りますが・・・常務が居ないと進まない事ばかりで・・・」
 『判った、判ったわよ。今から10分間だけ人事部長に時間をあげたから時間調整して。』
 「畏まりました。それと、先程常務のお身内の方と名乗られる方が面会に見えられました。3人で見えられ下の喫茶ルームで待たせてあります。どう致しましょうか?」
 『身内・・・?そうね、じゃあ、人事部長と話が終わったらここへ呼んで頂戴。』
 誰だろう?大方私を頼って上京してきた遠い親せきと言う輩だろう。体よくあしらっておけばいいわ。

 『へぇ~、凄い部屋ねえ。・・・久しぶりです。』「お久し振りです。」
 最初に入って来た女性2人を見て驚いた。良く見知った二人だった。すると、もう一人は・・常務は執務机をから腰を浮かせ両手で机を押さえ体を支えた。
 【君の活躍を良く聞かされていたよ。久しぶりだな、真樹。】
 『あなた。・・・晃一さん。あぁ・・晃一様。』
 机から離れた真樹は、ふらふらと3人に近づき男の前に膝をづくと男の足に縋りつく。
 『あぁ晃一様、ご主人様。真樹は、真樹は淋しかったんです。ご主人さまに逢いたくて逢いたくて、でも、ご主人様の許可が無いから・・お待ちしていたんです。』
 廊下を闊歩していた時の、傲慢な、男を見下した姿は見られない。そこに居るのはしおらしく控え目で受け身の女だった。
 「あなた、積もる話も有るのでしょう。彩香と私はどこかで時間を潰していますから、ごゆっくりして下さいな。」
 「お姉ちゃんの言う通りよ、あなた。子供達にお土産でも買っていますから、真樹さんとどうぞ。夫婦が2年振りに逢ったんでしょう?」
 『でも、薫さん、彩香さん。』
 「良いのよ、私達は毎日夫の晃一さんに愛されているわ。でももう一人の妻の真樹さんとは離れ離れ、一杯愛して貰いなさいよ。」
 彩香が真樹をもう一人の妻と言ったのは間違いなく真樹の事だった。
 薫と彩香の姉妹に晃一。この3人と真樹は特殊な関係だった。世間一般に知られると間違いなく犯罪行為になる重婚。それに近い形態だった。
 書類上の正式な妻は薫、その実妹の彩香、彩香の子は晃一に認知された。そして一緒に暮らしている。そこに至るまでの話も真樹を除いては出来ない事だった。その遠因は真樹に有った。
 そして真樹も晃一の秘密の妻になった。その経緯をこれから語ろう。



クロウエア・エクサラダ【27】

 健一と一郎が対峙するように、座っている。
 健一の隣には香織が、不安な面持ちを必死に隠しながら寄り添うように座る。
 早智子は受け取った子をあやしながら、一郎の隣で、事の推移を見守っていた。
 健一と一郎は、暫くお互いを睨みつけるようにじっと押し黙ったまま、口を開かない。
 香織はその様子を窺い、更に不安が増し落ち着かない。
 早智子は、そんな香織を労わるように見る。
 【一郎さん、香織の事・・・色々有難うございました。今まで、香織は一郎さんの所でお世話になっていたのですか?】
 健一が口を開く。その言葉には、自分の言う事が既定の事実だと思っている、事を示している。
 健一は、あれからずっと香織が独りでいたとは思っていなかった。誰かに頼るしかない・・それなら頼るのは一郎に他ならないと思っている。
 香織は健一の質問に込められた意味を悟り。俯いてしまう。
 「そうだよ、健一君。香織さんは私が預かっていた。」
 少しは否定するか、そう思い身構えていた健一はフッと肩の力を抜いた。
 【そうですか・・・1年もの間、済みませんでした。・・・・香織。】
 健一の言葉には抑揚が無く、香織を更に不安にした。そして、質問が自分に向けられると悟り、緊張して腕に力が入る。
 【香織・・この1年どう過ごしていたんだい?お二人も要ることだし、包み隠さず教えて欲しい。僕は・・・4か月ほど入院していた。胃潰瘍でね。君は息災だった?】
 初めて知る事実に、健一を除く3人は驚愕した。
 特に香織は大きなショックを受け、号泣してしまう。
 香織の泣き声に驚いた子供も一緒になって泣き叫ぶ。
 つかの間、リビングは喧騒に包まれ収拾がつかなかった。早智子が子供を抱きかかえリビングを出て廊下であやしている。
 香織は健一の胸に縋り、駄々を捏ねるように両手で軽く健一を叩く。
 『あなた!健一さん、どうして知らせてくれなかったの?』
 健一は苦笑しながら答える。
 【香織・・に教えたら、結論を付ける前に呼び出すようなものだし、多分受信拒否していたのじゃないかな?】
 確かに、受信拒否を設定していた。それを言われると何も言えなくなる。でも、
 『あなたが大変な時に傍にいられなかった私を許して下さい。』
 『この1年あなたが隣に居ないことを、余り不自然に感じていなかったのも事実です。
でも、それでも、病気のあなたを放って置いた負い目を感じています。』
 【そうだろうなぁ・・さっき、君が言っていた「あなたが1番好き。」と言う言葉にそれが表れているよ。】
 『え?』
 【1番好きと言う事は、2番目も3番目の好きな人が居ると言う事だからね。本当に僕が好きなら「あなただけ。」と言うはずだろう。やっぱり君は一郎さんの事が好きなんだ。それなら、無理に戻って来る必要は無かったのに・・それこそ電話で充分だったよ。】
 話が意外な方へ向いてしまったのを、一郎も早智子も驚き、口を挟もうと身を乗り出したが、健一に止められ、出鼻を挫かれてしまった。
 【このマンションはね、もう売りに出すことに決めていたんだ。僕にも好きな人が出来て、その人と新たな土地で出直す事になっていた。今更香織に戻られても困った事になったんだけど、これで解決したね。一つだけ香織と一郎さんの子供の事だけがずっと心のわだかまりになっていたのが、すっきりした事が今夜の収穫だな。】
 香織の顔は今や蒼ざめていた。
 さっきは、強がりで素直に謝れず、憎まれ口を利いたが、その見返りが、健一からの別離の答えだとは予想すら出来なかった。
 あんな事を言っても、健一は許してくれると軽く考えていた、いや、自分以外の女に心を奪われる事などあり得ない事と、考えてもいなかった。健一は前に寝取られのマゾ趣向があると言っていたから、それに乗り、苛めてやろうと考えただけなのに・・・
 『その・・女性は誰?』
 精一杯平然とした素振りで聞く。
 【それは香織には関係ない話だろう・これに印鑑を押してくれればこのマンションはあげる。】
 離婚届、そこには既に健一の名が書き込まれ押印されていた。
 香織の強がりもそこが限界だった。
 『嫌よ!絶対別れないわ。健一・・どうしてなの?私を愛しているんでしょう?あんな事までさせて、そこからはみ出してしまった私を許せなかったの?どうしてよ。なんで健一と別れなければイケないの?一郎さんと不倫したのも健一が企んだ事でしょう?私が悪いの?まんまと抱かれ続けたから?心を奪われそうになったから?そうなのね・・それが気に入らないのね。許せないのね。・・・このバカッ・・どうして判らないのよ。私がもうそんな事二度としないと、どうして信じてくれないの?バカッ、バカッ・・・いやだよ。健一・・別れたくないよ、何でもするから、何でも言われたとおりにするから、別れないで、お願いだから。香織を許して、捨てないで!』
 半狂乱になりながら叫ぶ香織に。
 【初めてだな、香織が僕の前で感情を剥き出しにするの。・・・本当に何でもするの?何でも言う事を聞くの?ならば、別れてくれ。】
 『やだやだやだ、絶対嫌だ。別れるくらいなら、ここから飛び降りて死んでやるもん。あなたが好きなの、愛しているの。他の人に抱かれたけど、やっぱり健一が良いもん。健一じゃなければダメだってやっと気が付いたんだもの。だから・・この1年長崎で修道院に入って懺悔していたんだもん。1度入ったら1年間は出られないのよ。嘘じゃないわ。信じて健一。見てこの背中、懺悔のために自分で鞭打ったのよ。あなたを裏切った罰を受けていたの。一郎さんとも早智子さんとも、ここに着いてから偶然会っただけだもん。悪戯したのも謝るから、ねえ、許して。』
 香織の背中には確かに鞭打ちで何度も何度も皮が破れ、破れては治った跡が無数にあった。【・・・じゃあ、今すぐ全部脱いでそこに立てよ。】
 健一が指定したのはリビングのテーブルの上であった。
 香織はチラリと健一の様子を窺い、抵抗しても無駄だと悟った。
 しかし一郎と早智子の前で全裸になるのはやはり恥ずかしく、モジモジしながら躊躇っている。
 バシッ! いきなり、頬にビンタを浴びた。
 健一の手形が付く位強い衝撃だった。香織はバランスを崩すし倒れ込む。
 一郎と早智子が腰を浮かせ、駆け寄ろうとする。
 その二人を制したのは香織だった。
 『来ないで。・・ゴメンなさい健一さん。直ぐに脱ぎます。』
 立ち上がると片手で頬を擦りながら、香織がテーブルの上に立つ。
 躊躇いながらも、香織は上着を脱ぎ、スカートを足元に落とす。
 背中に廻した手でホックを外し、これも片手でカップを押さえながら肩紐を外し、片手で胸を隠し、ブラジャーを床に落とす。
 健一は何も言わず、香織の動きを見ている。一郎も早智子も今やソファーに座りなおし、黙って二人を見ている。
 香織は片手でショーツの腰ゴムに指を掛け少しづつズリ下げ、陰毛が見えそうな所で一度手を止めた。
 香織は大きく息を吸い込むと、胸から手を外し、両手でショーツを一気に降ろし、片足づつ足を抜き取る。
 香織は紅いままの頬を染め、陰毛を手のひらで、胸を腕でカバーし、健一の目から隠して立っている、
 それでも健一は何も言わず香織の後ろに回り、大きく手を振り被った。
 ビシッ、バシッ!
 香織の左右の尻肉が揺れている。
 『ヒィ・・』
 『あぁ、ゴメンなさい、手をどけます。・・これで良いですか健一さん。』
 健一はまだ何も言わない。目だけで香織を操る。
 おずおずとそろえた脚を少し離す。
 健一の目の前に、香織のオマ○コからはみ出た肉のビラビラと僅かに頭を覗かせたクリトリスが披露された。
 香織の目は潤み、カラダが小刻みに揺れている。 蛍光灯の明かりに光る物が香織の股間に現れてきた。
 肉のあわい目に滲むそれは、香織の淫らな汁だった。
 これまでに、2度、一郎と健一にサディスティックな事をされた事が有ったが、その時の事が思い出され、カラダが熱く火照る。
 修道院で自分で鞭打った事も同じ位思い出していた。
 (あぁ、これは・・・この感覚は・・・求めていたもの・・なの?)
 健一の右手が伸び、香織の左胸を形が変わるほど強く握りつぶす。
 『あぁ、痛い・・』
 同じ手で今度は乳首を掴むと限界まで引っ張る。
 『ひぃ・・痛い・・痛い。やめて・・止めて下さい。』
 健一は掴んだ手の反対の手を振りかざし、叩きつけるように香織の乳房を痛めつける。
 『ぎゃぁぁぁ。』
 香織の悲鳴が部屋中に鳴り響き、早智子が思わず首を縮める。
 つぶされた乳房、引っ張られた乳首、撃たれた胸に激痛が走り、香織の顔が歪む。
 激痛が収まり疼痛に変わる頃に、香織は有る事に気が付いた。
 ジーンとした痛みが疼きに変わり、いつしか甘い痛みが香織にもたらされた。
 『はぁん・・健一・・・さま。・・』
 反対側の乳房も同じ様にされた。激痛が甘い痛み、疼きに変わる。
 香織のオマ○コから滲みだしていた淫らな汁は、いまや一筋の流れに変わり内股を濡らしていた。
 健一の手が香織の股間に延び、指先に陰毛を絡めると、纏めて数本思いっきり、下に向けて引っ張った。
 ブチっ、と言う音が聞こえた。見ると健一の指に黒々とした陰毛が絡め取られていた。
 『ひぃ、あぁ』
 下腹に痛みが走り香織の眼尻から涙が毀れる。 健一は再度、指を絡め、引く真似をした。
 香織が恐怖に顔を強張らせ、腰を引いてしまう。
 【動くな。】健一が初めて声を出した。
 香織はその声に縛られ、動きを止め、カラダを硬くする。
 【香織・・・おまえは僕のなんだ?】妙な質問だった、香織はあなたの妻です。と答えようとして不意に気が付いた。
 健一が何を求めているのか、どう答えればいいのかも香織には判ってしまう。
 健一の変化を確信した。それまで健一は寝取られのマゾ夫だと、想っていたし、事実1年前までそうだった。一郎さんに寝取らせようと画策していた程だから。
 所が、今の健一はそれが嘘だったと思うほど変わっている。
 香織にとってそれは嬉しい変化だった。香織はこの1年自分で自分を鞭打ちながら、何を健一に求め、何が自分に必要なのか深く考えて来た。
 その答えが目の前の健一によって導き出された。最早躊躇う事は許されない。そんな強迫観念が香織の身内に沸々と湧き上がる。
 『けんいち・・様・・・ご主人様ぁ・・ぶって・・ぶって下さい。悪い事をした香織を気の済むようにして下さい。』
 それは香織の本心だった。自分の迷いに決別し、夫・・ご主人様に可愛がって頂くためには罪を償わなければならないと本気で考えていた。
 肉体の苦痛はやがて引いて行くが、心の痛みは日に日に大きくなって行く。
 その二人の姿を、離れた所から一郎と早智子が見ている。
 『ふぅ・・・香織さんやっと心を開いたようね。』
 早智子がやれやれと言いたげに呟く。そのつぶやきを受けて一郎が答えた。
 「これで、二人はより強い絆で結ばれるだろう。」
 『本当、これでまだグズグズしていたら、カラダを張った甲斐が無いもの。』
 「今回は君が大変だったね。ご苦労さま。まだ痛むか?」
 一郎が早智子を気 遣う。
 『健一さんの責め、近頃では凄くキツイのよ。カラダがバラバラになるかと思う位なの、何度も何度も焦らされ蛇の生殺し状態が延々と続くの。その上で鞭打ちでしょう、もう堪らなかったわ。もう逝かせて、なんて何回叫んだのか分からなくなる。あの人丸っきり変わったわ。マゾからサドにね。でもそう言うこと有るのかしら?』
 「そうだなぁ・・・有るんじゃない。SもMも同じ様なものさ。裏返しになったと言う事なんだろう。」
 こんな会話が交わされているとも知らずに、香織は満ち足りた、うっとりした顔で健一、ご主人様の一挙手一投足を飽かずに眺め、施される責めに、悲鳴と嬌声を交互に上げている。
 香織の尻は赤く腫れ、座るのも困難な程だった。それでも立っている健一ににじり寄り、雄々しくなったモノを捧げ持つようにして、唇を寄せて行く。
 最初は啄ばむようにキスをし、鬼頭の形を確かめるように先だけを銜え、口中で舌を動かしている。
 『ふぅん・・はむ・・・』
 一度唇を離し、再度これから自分を支配するモノを見詰めた。
 自分を睨みつけるように鬼頭の真ん中で口を開きかけている鈴口から、苦く甘い液を指先で辺りに塗り拡げ一気に根元まで銜えた。


クロウエア・エクサラダ【26】

 昨夜のうちに夫には部屋を出て行って貰った。
 一人寂しいベッドで泣いた。夫は妻を妻は夫を裏切り信頼が壊れ、そして闇が身を包む。
 香織は夢にうなされ、起き上がると部屋を見渡した。
 サイドボードの上の鉢植えが月明かりに浮かび上がる。
 クロウエア・エクサラダ・・・日本ではサザンクロス。そして花言葉は・・・
 【遠い記憶】健一との楽しい日々が蘇る。
 どうして愛し合った二人が別れなければならないの?心が離れたから?カラダが離れたから?
 あなた・・早智子さんに今度の事を頼んだ時になにを考えていたの?私の事はどうでも良かったの?・・・
 あなた・・私・・どうして一郎さんと関係してしまったか、ずっと考えていたわ。でも判らないの、あなたを愛しているわ。あなたにばれる前は一郎さんを愛してしまった。そう思っていたわ、罪悪感と共に。
 私きっと、気分がハイになって、周りのものが見えなくなっていたと思うの。
 私もあなたを責める資格の無いはずなのに、あなたを責めてしまった。冷静になって判ったの。
 あなたに怒って欲しかった。引き止めて欲しかった。あなたに振り向いて欲しいのよ。
 私の方が悪いの。判っていたわ。あなたがどんな計画を立てていても、私が思うとおりにならなければしなくて済んだ事だもの。
 判っているのよ・・・頭では判っていたの。
 女は頭だけじゃなく、子宮でモノを考える生き物なの。それが良く判ったわ。
 子宮が赤ちゃんを欲しがったの。
 だけどあなたの子を求めなければイケナイのに、違う人の子を求めた私が悪いの。あなたを怒って出て行ってもらった訳じゃないの。
 あなたに申し訳なくて・・こんな私と一緒に居たら、あなた、本当は優しい人だから、違う人の子でも産んで良いと言うかも知れない。・・・そんな事言わせたくない。言わせてしまったら、もう二度とあなたと顔を合わせられなくなる。そんなの嫌だもの。
 いつか許して貰えるかもしれないのに、あなたにそれを言われたら、あなたに戻って来い。と言われても、戻れない、戻ってはイケない事になる。そんなの嫌。
 ごめんね健一。私がしっかりしてないばっかりに、こんな事になって。少し時間を下さい。今でも一郎さんを愛しているのかよく考えて見ます。自分でもどうして良いのか判らないけど、きっと結論を出します。

 香織・・僕は・・君に酷い事をしてしまった。きっとこんな僕を嫌いになったよね。当たり前だよ、自分の妻を他人に抱かせる・・・それは、君の傍に僕がいるから成立した話だよね。目の前で一郎さんに抱かれる君を見てから、、僕は異常に気がついた。
 他人に抱かれる妻のことを考えるととても興奮した。そして堪らなく切なくなる。そのせめぎあいに、狂った。
 誰よりも君を愛しているのに、愛しているから、もっと気持ち良い事を知ってもらいたい。女の悦びを極めてもらいたい。こんな考えに取り付かれた。僕とセックスしても得られない感覚・・・恥じらいを捨てセックスだけに没頭して、何度も何度も絶頂に達し、妖しく乱れるのは僕との間では出来ない。そのスパイスは罪悪感・・僕に悪いと思いながらも抱かれてしまう背徳感、僕にいつかバレてしまうかも知れないと思いながらカラダの欲求に負けてしまう恐怖・・いろいろな感情が君を大胆に変身させると思った。
 そんな君を見てみたい、そんな君を想像すると切ないのに興奮する。愛しい君を寝取られる絶望感が僕を異常に興奮させる。
 
 『あんぁ・・ダメェ・・そこ、汚いから・・あぅ・・舐めないでェ.』
香織の股間に陣取る一郎が、オマ○コを左右に拡げ中まで剥き出しにしている。
 『やぁ・・そこ・・オシッコの出る所・・・舌で突くのヤメテェ・・』
 うぅ・・一郎さん、そんな事までするのか。・・香織・・
 『あんぁぁ・・出ちゃうょぉ・・駄目ったらぁ・・・ダメェ・・漏れちゃうよぉ。』
 ズズッ、ズズッ。オマ○コから淫液を啜る音まで聞こえる。
 (かおりぃ・・僕の時より凄く濡れている。そんなにいいのか?感じているのだな。他の男に舐めさせるなんて・・・)
 光景を思い浮かべ、健一のチ○ポはギンギンに怒張している。
 『あん・・・大きい・・一郎さんのオチン○ン。』
 『そんな・・ぁぁあ・・あなたよ・・一郎さんの方が主人より大きい。』
 (香織ぃ・・大きい方が良いのか。僕のじゃ満足できないのか。)
 健一は倒錯的な思いに打ち震える。実際には健一の方が立派なのだが、香織がそんな事を言っていると妄想している。
 『あなたっ・・イイの・・感じるの・・オマ○コの中・・グチュグチュなのぉ。』
 香織がそんな事を言う筈がないと分かっていても、卑猥な言葉を吐いていると思ってしまう。
 『く、下さい。ねえ、一郎さん・・香織にオチン○ン下さい。して、ねえしてぇ。』
 (ぅぅ・・香織ぃ。僕のじゃないのに欲しいのか。)
 『あなた・・ごめんなさい。我慢出来ないの・・』
 『ぁぁあああ・・イイ・・奥まで来るのぉ・・・もっと、、来て。』
 香織、香織、香織ぃ・・・うぅう・・やったんだな。一郎さんのチ○ポ、オマ○コで銜えたんだな。・・・チクショウ、どうしてだ。どうして他の男のモノ・・おぉ、香織のオマ○コが張り裂けそうだ。大丈夫か・・あぁあんなにピッチリ締め付けて・・僕に見せつけてるのか。出し入れされる度にオマ○コからあんなに汁が・・
 妄想は益々激しくなる、一郎に抱かれる香織を想い、右手を上下に激しく擦る。
 『あっぁう、くる・・きちゃう。イイのオマ○コイイのぉ、ねえ、出して・・出して。』
 ああ香織・・精液をねだるのかぁ・・中で出させるのか・・僕以外の男の精液を膣に入れさせるのか。
 『イク・・イクの・・一緒に・・一緒よ・・出して・・一杯頂戴いいきくぅううう。』
 出したのか・・一郎さん出したのか?香織の中に・・・僕の香織に・・あぁ・・出るぅ
 妄想の中の香織に向って健一は精液を吐き出した。嫉妬に狂った健一は何もない空間に精子をばら撒き、はぁはぁしている。
 あまりの快感に目を瞑る。脳裏に香織の姿が見える。
 大きなお腹を抱え、手をつないで買い物をしている香織と一郎。ソファに横たわる一郎にお腹の音を聞かせている香織、小さな靴下やミトン、産着を並べて微笑む香織、それを一郎が見ている。ベットに並んで寝ている香織と赤子、紙オムツを取り替えている一郎の姿、赤子の耳を片手だけで塞ぎ、ガーゼで体を拭い、首の据わらぬ赤子を抱き抱え風呂に浸かる一郎と赤子を受け取る香織が微笑んでいる。
 (いやだ、いやだ、僕は何て事をしたんだ・・・あれは僕がするんだ・・香織ぃ許してくれ・・一郎の子なんか産むなぁ・・・あの時そう言えば良かったのに・・遅いのかもう遅いよなぁ・・香織ぃ・・僕は俺はお前が好きなんだ・・愛しているんだ・・他の男に抱かれてもお前が愛おしい・・でも、もうもう遅いんだよな。今頃気付いても・・)
 健一は激しい後悔と、嫉妬に涙を流し、香織を想っている。


 あの別れから既に1年が過ぎていた。
 香織からは1度も連絡が来ていない、自分からも出来なかった。この事態を招いたのは自分だった。その自分から連絡をとるのは出来なかった。そうこうしている内に月日が流れ1年が過ぎていた。
 二人で住んでいたマンションは薄暗く静かだ。香織の声、香織の温もりの消えた家は健一にとってもはや我が家とは言えないただの住処でしかない。
 そのマンションも人手に渡そうかどうか思案していた。香織の居ない家に何の未練もなかった。
 ピンポーン!ピンポーン!
 玄関のチャイムが鳴った。リフォーム業者か?健一は思った。
 売りに出す前にリフォームしておこう。香織との痕跡を消しておかなければ、何時までも未練が残る。頼んだ業者が来たのかと思った。見積りをしてもらうため呼んでいた。
 のぞき窓から確認する。
 【!!!】
 そこには一人の女性が何かを抱きかかえ立っていた。
 片手で何かを抱き抱え、もう片方に荷物を持っている。
 それは赤子を包むショールだ。もぞもぞ動いている。そして・・・香織だった。
 あまりの衝撃に、健一は玄関に崩れ落ちてしまった。
 現実に子供を抱いて立っている香織を見て健一は終わったと思った。
 ほんの少し、かすかな望みが脆くも崩れ去ってしまった。
 あの時まだ妊娠していないと言っていた香織の言葉にホッとしていた自分が居た。そしてこのまま妊娠しないでくれと望んでいた。
 だが・・・健一はノロノロと起き上がり、ふるえる手でドアノブに手を懸け、鍵を開けチェーンロックを外した。
 『・・・こんにちは、健一さん。お久しぶりですね。』
 他人行儀な挨拶に、涙が出そうになる。
 【あ、ああかおり・・】
 『ねえ、入れて下さらないの?荷物が有るから持って下さらない。』
 目で示されたのは手提げ袋に入れらた紙おむつにウエットティシュの箱、替えの肌着らしきもの。そのどれもが健一の涙を誘う。
 リビングのソファーに女の子を抱えた香織が座る。
 『健一さん見て。かわいい女の子でしょう。一郎さんに目元が似ているでしょう。』
 残酷な言葉。
【その子・・・一郎さんの?】
 『そうなの、もう1歳を過ぎたわ。立って歩くのよ。』
 香織の一言一言が胸に突き刺さる。
 もう止めてくれ・・・香織・・・判ったから・・・
 『あのね・・・私あれからずっと考えていたの。・・・・こんなに永く連絡もしないでご免なさい。・・・わたし・・・やっぱりあなたを愛している。お願い、一緒に暮らしましょう。もう一度やり直してください。』
 【・・・でも・・・その子・・】
 『ああ、一郎さんの子。この子は関係ないわ、私達の事を話しているのよ。ねえ。』
 どうしてそんな事が言えるんだ。その子は君と一郎さんの子だろう。その子を僕たちで育てると言うのか。
 『健一さん。別れたあの日水を欲しがったの覚えている?』
 【水?】どうして?その事が今話題に上げる事なのか?
 『お薬を飲んだの。・・・モーニング・アフターピルよ。』
 【え?・・・だってこの子?】
 『だから一郎さんの子よ。』
 【君と一郎さんの子なんだろう?】
 『一郎さんと早智子さんのね、子供よ。私じゃないわ。・・・ゴメン、あなたをチョット懲らしめてあげたかったの。子供が居るような振りしたの。』
 【・・・よかった。・・・香織ぃ・・・良かった・・・そうかそうか・・・】
『あなた・・・痛いわ。』
 健一が香織をギュッと抱きしめていた。
 『愛しているわ・・・ゴメンなさい。あなたを一番愛している。』
 健一は絶望の淵から救われた思いで一杯になりながら、強く香織を抱きしめた。
 どちらからともなく,口づけを交わす。お互いの背中を摩り、相手を確かめるように抱擁している、香織と健一。
 【香織・・・もうあんなことしない。僕が間違っていた。君を悦ばすのも僕でなければ意味がないと気付いた。この1年後悔のし通しで辛かった、寂しかった。もう一度夫婦になろう。】
 『はい、あなた・・私もあなたの赤ちゃん欲しいわ。ねえ良いでしょう?』
 【うん、うん。僕の子を産んでくれ。】
 ピンポーン!ピンポーン!ピンポーン!
 なんだ?
 しぶしぶ、玄関に行く。リフォーム業者だった。
 【すみません、あの話キャンセルして下さい。】
 「はあ?・・・こっちも忙しいのに、困りますよ。」
 【すみません。】
 急いで香織の所に戻った。そして抱きしめキスをする。
 今度の事で再認識した、やっぱり香織を愛している。
 ピンポーン!ピンポーン!ピンポーン!
 『あ、いけない・・・早智子さん達一緒に来たのを忘れていたわ。』
 慌てて、玄関に向かう香織を見送りながらさっきの香織の言葉を反芻する。
 【僕を一番愛している。か・・・それって・・一番が居るってことは、二番も居るってこと?まさかな・・・はは・・・考えすぎだよな。】


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Author:HIRO(S)
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年齢:秘密
性別:秘密
地域:関東地方
動機:gooで削除されたので。
一応フィクションとしてますが、ナイショ
写真は・・・・いけないんだぁ

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