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回想録 ~二人の玲子^~ 31

 翌日から私の行動がおかしくなった。
 妻が外出するたびに跡を付けるようになった。幼稚園への送り迎え。スーパーへの買い物、そして役員会。
 その日は夕方から会合があるという。娘の面倒を頼まれた。
 急いで知り合いの女性記者に娘を頼みこみ、園に向かった。
 しかし、幼稚園の門は閉まっており、既に人の気配は消えていた。
 途方に暮れ、辺りを車で徘徊する。
 この町にはラブホテルは無い、隣の市だろうか?それともその先の市・・・夜10時を過ぎてもまだ見つからない。
 確か歓楽マップがアトリエのほうにあったことを思い出した。男性記者が置いていったものだ。
 ホテルの場所を確認するため戻った。
 自宅とは離れた場所にアトリエを設けていた。日常と非日常を区別したかったからだ。
 アトリエに電気がついている。 侵入者か?
 表からだと拙い。非常階段を静かに登り2階から入る。
 屋根裏部屋のような作りにしてあるその部屋は、描き終わった絵の保管場所のほかに、一部倉庫にしていた。
 そこから壊れたイーゼルの1本脚を拾うと、階下へ降りて行く。
 アトリエと台所、仮眠室と保管庫、どこだろう。
 明かりはアトリエについていたがそこには人影が無かった。
 仮眠室に向かう、そこから出てくる人影が見えた。
 とっさに持っていたイーゼルでなぎ払う。
 ギャァ・・・くもぐった悲鳴と共に倒れる音が響く。
 『いや・・・戻ってこないで・・』
 部屋の中から女の声がした。
 廊下に出てくる。
 明かりをつけた、
 裸の女が立ち竦んでいた。
 『あっ・・・あ、あなた!・・・』
 絶句して動かない妻から目を逸らし、倒れた者を見る。
 見覚えのある男だった。幼稚園の園長・・・私より10歳は年上の男だった。
 『あ、あなた違うの・・・違うの・・・』
 私は返事も出来ず、あまりのショックに、その場を立ち去ろうとした。
 その時妻が必死に私の足にしがみ付く。
 『ちがうの・・・ちがうの・・・あなた・・』
 大きな声で泣き出し、頭を左右に振って何かを否定する。
 『・・・』
 
少し経って落ち着いた妻の話は、この男に脅され無理やり関係した。今日が3回目だと言う。
 謝恩会用に集めたお金を紛失してしまい、穴埋めに持って行ったお金を、盗んだお金だと言い張られ、デジカメ写真を取られた。抗議しても聞き入れず、この写真をばら撒くと言われ、仕方なく酒を一緒に飲むことを約束されられた。
 当日1杯しか飲まなかったのに、急に眠気が襲い、気が付いたらホテルで犯されていた。
 今度はその写真を夫に見せると脅され、はしたない下着を渡され、呼び出したら之を穿いてくるよう強要され、また犯された。
 そして今日、無理やり夫の仕事場で辱めを受け、汚されたと告白した。
 「警察に行こう。之は犯罪だ。」
 『でも・・あなた。ご近所が・・』
 「何を言っている、二度とこんなことが起きないようにするんだ。お前も可哀そうだがそれでも赦しておけない。我慢してくれ・」
 『・・・・はい・・』
 翌日園長は逮捕され、婦女暴行、脅迫の罪で起訴された。
 裁判ではあっさり罪を認め結審した。
 だが、やはり近所に噂が広がり私達は引っ越さざるを得なかった。
 夫婦の間でも、ギクシャクしてしまっていた。


へ~こんな事が現実に起こるとは・・・個人的PageTop回想録 ~二人の玲子~ 30 

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写真は・・・・いけないんだぁ

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