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【疑惑のテンポラリーファイル】(13)

 『良い匂いですね先生。』
 「リラックスできますでしょう?御香を焚いて見たのです。それから私の事はマサミと呼んで下さい。私もみゆきさんとお呼びしますから。」
 その部屋は分厚い暗幕が張り巡らされ、家庭用プラネタリウムによる星の映像が部屋中隅々まで瞬く空間だった。
 リクライニングチェアーとその脇に小さなテーブル。テーブルを挟んだ反対側にも椅子が置いてある。
 暗幕の裏側を覗くとそこには、防音壁が存在していたのだが隠されている。
 つまり、窓など最初から存在せず暗幕を張る必要もない。そんな造りになっている事を何故隠しているのか? 
 その答えは追々判って来る。等とは言わない、簡単な事だ被験者が暴れたり、自傷行為を起こしても重傷にならない様に設置され、その事を被験者に知らせないよう配慮したからである。
 「それでは、リラクゼーション用の夏の星座達。と言うプログラムを流しますね。リクライニングを調節しましょう。」
 みゆきは素直にリクライニングシートのサイドレバーを操作し徐々に角度を大きくして行く。
 「はい、その位ですね。」

 【北天のおおぐま座にある北斗七星が作る柄杓の形は有名ですが、いて座にもよく似た星の並びがあります。ζ星、τ星、σ星、φ星、λ星、μ星の順に6星をとたどると南斗六星のできあがりです。なるほど、確かに北斗七星の形によく似ています。ただし、北斗七星に比べると少し暗いめの星が多く、大きさも小ぶりなので、ちょっと探しにくいかもしれません】
 部屋に解説のナレーションが、落ち着いた男性の声で静かに流れている。
 みゆきの傍らでマサミがみゆきの様子を観察している。
 みゆきのシートには正面を向いて座ると、耳の辺りにスピーカーが組み込まれた張り出し部分が有るのが見て取れる。
 部屋に響く音声とは別の音声が流れる仕組みだ。
 暫く解説の淡々とした音声が続き、見ている者に目標の星を見つける為の指示が流れていた。
 最初は1個の惑星を映し出す。地球である。次に太陽系。続いて太陽。ここから部屋が真っ暗になる。
 真っ暗になって、音声も沈黙している。
 そこに耳元から囁くようなマサミの声が届く
 「肩の力を抜いて・・・・そう、そうです。手足もダランとさせましょう。・・・・良いですよ。・・・眼を閉じてみましょうか、楽になりますよ。・・・そう、そうです。力を抜いて。・・・・」
 マサミの優しい声がみゆきの肩に入った力を弛緩させた。強張って居た肩が楽になる。
 「さあ、リラックス出来ましたね。そろそろ始まります。目を開けて下さい。」

 小さな点が現れると、壁面のあちらこちらに星が瞬きだす。解説は1等星と呼んでいた。続いて先ほどよりも暗い星々が仄かに暗い夜空に瞬きだす。
 二等星、三等星・・・・・六等星以上になると肉眼では見えない。

 その音声に被せる様に、マサミの声がまた耳元のスピーカーから聞こえて来た。

 「沢山の星で目が疲れましたね。・・・・眼を閉じましょう。・・・・」
みゆきは眼を閉じた。

「あなたは疲れを取る為に瞼を押さえようとします。でも、腕が重くて持ち上がりません。・・・・・・さあ、試してみましょう。まず右腕から。・・・ほら、動きませんね。・・・・左腕も・・・・重くて動きません。・・・・」
 みゆきは腕を動かそうとしたが、重くて動かない。
 
 「数を数えたら私が腕に軽く触れます。 ・・・・・触れられた腕は動くようになります。重かった腕が嘘の様に軽くなります。
 「3・・・・2・・・・・1・・・・・はい。」
 掛け声と共にマサミが軽く右腕に触れた。
 動く!・・・・・右腕が軽い。
 でも、左腕は重いまま動かない。
 「今度は左腕の方に触れますね。・・・3・・・・・2・・・・1・・・ハイ。」
 
 マサミの言葉通り左腕も動く。
 
 「私が瞼を押さえます。疲れがとれますよ。・・・・眼の疲れが取れたら、カラダがスッキリとしています。・・・・・私が数を数えたら瞼を開けましょう。」
 先程と同じ様に瞼が開けられるようになり、開けてみると全身がすっきりとして気分が爽快になる。

 「今日のリラクゼーションはここまでにしましょう。みゆきさん明日もどうですか?」
 『はい、マサミ先生。なんだかカラダがスッキリしました。明日も来たいです。』
 「それは良かったですね。今夜はグッスリ眠れますよ。」
 みゆきは看護師の押す車イスに乗って病室へ帰って行った。

 その日から、数十分、時には1時間半位の時間をこの部屋で過ごすのが、みゆきの日課に加わった。
 それはリハビリで足を動かすようになっても続いた。
 自分とみゆきの間に『ラポール』が完全に築かれたと確信したマサミは、次の段階に進む事をひろしに告げた。
 「ご主人、いよいよ準備が整いました。時間の過去からの遡行・・・に取り掛かります。いいえ、違います。奥様の体験を自分の口で話せるように、心の扉を少し開けて貰うのです。ご本人が嫌がる事、ご本人の意思に反したことをさせる事は、出来ません。テレビとは違います。ご主人も誤解なされていますね。」
「催眠術と言う言葉に、何でも自分の意思を押し付ける事が出来る・・・・被験者の意に沿わない事も、命令出来る。等と誤解されていては困ります。術と言う言い方がいけないのですが、まったくそんな事は出来ません。奥様が話してくれるとしたら、それは奥様が私には話しても良いと思ったからです。私を信頼なされたからです。私に心を開いてくれたと言う事です。」
「勿論、時間は掛かります。退院されてからになるかもしれません。気長にお待ち下さるようお願いします。」
年若い女医に全てを託さなければならないのは、内心忸怩たるものが有りましたが、先生に頼るしかないのも、判っています。


【疑惑のテンポラリーファイル】(12)

『あれは、メールだけのお遊びなんです。・・・・あなたと離れて居て、時々しか逢えなくて寂しいから、暇つぶしでやった事なんです。あなたに黙ってした事は謝ります。でも只のメールだけです。』
 妻は悪びれた様子も見せず淡々と説明する、酷い違和感に襲われてしまいます。
 (何だ?動揺から立ち直るのが早い?)
 【じゃあ、あの派手な下着は何の為だ。昔俺が買ってやろうとしたら、変態扱いしたくせに。大人しい白かベージュかピンクの物しか持っていないはず、単身赴任前には無かったからな。】
 『あら、あなた。私が持っていたのを気付かなかっただけでしょう。あなたは夜の営みの時にも、さっさと下着を脱がせて私を抱くだけ。いいえ、下半身だけじゃないの。ショーツを脱がせて、少し弄くって、入れて出すだけ。新婚の頃のような甘い会話も無く、義務のように私を抱くだけのあなたに妻の下着がどんな物だったかなんて判るの?見もしなかったくせに。』
 妻の逆襲です。
 確かに痛い所を突かれました。時間を掛けて愛撫しセックスを楽しみ、愛を確かめ合う。子供が生まれ大きくなって来ると、それだけで夫婦の時間が少なくなります。
 その少ない時間の中で自分の欲望だけを優先していたと指摘されれば、そのとおりかもしれません。
 『あなたも良く、風俗に通っていたじゃないですか。私が知らないと思っていたのですか?お酒を飲ませるお店ならまだ許せますが、あなた、ヘルスとかソープランドのマッチが背広のポケットに残っていたのを、私が素知らぬ振りをして捨てていた事をご存じないでしょう?』
 『まったく男の人っていやらしいわ。女はそんな事はしません。』
 【昔の事じゃないか。俺は今の事を話しているんだ。この春はK子さん達との旅行だったって?。】
 『ええ、K子さんとS恵さんとね。楽しかったわよ。』
【この間K子さんに結婚式でばったり会った。K子さんは旅行に行けなかったと言っていた。みゆきと旅行したのは何処のK子さん?】
 『あ、あれ?そうだったかしら?・・・アッ痛い!頭が痛い。気持ち悪い・・』
 【いい加減にしろ! 】
  妻が仮病を使って誤魔化そうとしたので、つい呶鳴ってしまいました。
 みゆきは嘘の付けない妻だった筈なのに、明らかに調べれば直ぐに判る嘘をつく女になってしまったのでしょうか?
 【見え透いた嘘を付くなんて・・・・お前は・・・お前と言う奴は。】
 言葉が続きません。
 絶句する私に妻は重い口を徐々に開き始めます。
 『ごめんなさい。本当に事故前の事が思い出せないんです。』
 『ただ・・・・何か後ろめたいような事をしていたのかも知れないと、ふとそう思うのです。それが何なのか判らないんです。浮気・・・覚えが無いのですが、あなたが言うように間違いを犯していたのかもしれない。自分で自分を信じ切れないのです。』
 一時的な記憶喪失等は良くある話ですから、事故後暫くはその通りなのでしょうが、事故から大分経っての記憶喪失は信じられません。
 何より私の遊びの事は憶えているのに、自分の事をそう都合よく忘れたり出来る物なのでしょうか?
 主治医の先生に話をしなければ・・・考えていると、別の医師が病室に入ってきました。
 「○○さん、如何ですか?」
 頂いた名刺に、精神科と有りましたので、強い疑念を持ちました。
 【どうして先生が?】
 「事故後からPTSDが発祥する事が良く有ります。アフターケアの一環ですから、気になさらずに。大事故の後は必ず私のような精神科の医師か心療内科或いはカウンセラーがケアを行うようになっているのです。」
 どうしようか迷いました、先ほど決心した事が鈍ります。
それでも、恥を忍んで先生に相談しようと思いました。
 その先生が女性なのが躊躇の原因です。どう見ても私よりずっと若い女性に、医者とはいえ妻の浮気を相談する等、恥ずかしい限りです。
 しかしこの時は藁に縋る思いで話し掛けました。小声で。
 【先生、ちょっとご相談したい事が有るのですが、・・・妻の前では出来ない事でして。】
 何かを察してくれたらしい。妻に聞こえるように言いました。
 『ご主人、申し訳ありませんがカウンセリングを受けたという、ご家族の署名を書いて欲しいのです。形式的な事ですが、何かと厚生労働省が煩いものでお願いします。ご主人がいらっしゃるとは思わなかったものですから、書類を忘れて来ました。医局へ取りに行きますので少々お待ち頂けますか?』
 上手い言い方に私は乗りました。
 【いえ、先生。私が同行しても宜しければ、ご一緒にそこまで。みゆき、疲れたろう?今日はこれで帰るよ。】
 妻は先生の手前からか、ただ頷いたのみでした。
 私達は医局へは向かわず、先生の診察室へ行きました。この時間診察はもう終わって居ます、誰にも邪魔されず話しが出来るそうです。
 『で、ご主人。相談とは?』
 【先生のご意見を聞きたいのですが・・・・妻が事故の前の記憶・・ある特定の事だけを忘れていると言うのです。そう言う事が有るのでしょうか?】
 先生は小首を少し傾け、考えてから私に質問して来ました。
 『特定の事とは?ご主人何か言い難い事らしいですが、私達医師は、知り得た秘密を他に漏らす事は有りません、信頼して何でも仰って下さい。』
 その言葉に励まされおずおずと喋りました。
 【実は・・・お恥ずかしい話ですが・・・妻の態度がおかしいのです。私は単身赴任で家族と離れて生活して居るのですが、どうも妻が浮気を・・・】いえその事もそうですが、実は問い詰めると、事故の後遺症でその事だけ忘れたと・・・その頭が痛くなると・・・言うのです。】
 『具体的に覚えている事と忘れたと言う事をお話し下さいますか?』
 先生はカルテの様なものに何かを書きながら私に再質問をして来ました。
 病室での会話を再現し先生に話しました。
 先生の顔が憂慮に曇ります。
 『ご主人・・・一時的な健忘症・・所謂記憶喪失と言うものでは無いと思います。確実な事は検査してみなければ何とも言えませんが、健忘症の症状にしては話の繋がり、行動が唐突過ぎると思います。健忘症と言うより、パーソナリティ障害とかの精神面の異常が考えられます。』
 【パーソナリティ障害??】
 パーソナリティ障害は最近名称が変更されたもので、以前は境界性人格障害等と呼称されていたものである。
 厳密に言うと症状により、細かく分類されているらしい。
 精神病とか言うよりも柔らかく、かつ、患者本人や家族が受ける、無知な他人からの謂われなきプレッシャーも少しは軽減されるのだろうか?


【疑惑のテンポラリーファイル】(11)

 妻が入院してふた月が過ぎようとしていました。相変わらず忙しい毎日でPCの解析も遅遅として進みません。
 今日は久しぶりに妻の顔を見に行く事が出来ます。
 娘達に連絡すると、娘達はそれぞれに用事が有り行けないそうで、私だけが行くことになりました。
 電車の中で、これまでに判った事を反芻してしまい、益々気が重く、発覚前の妻を待ち焦がれていた気持はどこへ行ってしまったのか、私達はもう終わりなのか。車窓からぼんやりと外を眺めてそんな事を考えてしまいました。
 妻の事を考えると、何故?どうして?何が原因だ。・・・そればかり考えて堕ち込むばかりです。
 駅に着いてホームをトボトボと改札口まで時間を掛けゆっくりと歩いて行きます。
 出来ればここから引き返したい気持と、妻に問い質して真相を知りたい。相反する気持ちが襲って来ます。
 駅を出た所に手打ち蕎麦の店が有ります。
 昼近いので腹拵えをしようと入りました。
 天ざるを蕎麦を頼み、周りを見ますと。品の良い老紳士が一人、刻んだネギ少しの醤油を掛けたモノを肴にお酒を飲んでいるのが見えました。
 こう言う飲み方が有るのかと、しげしげと見てしまっていたのでしょう、視線に気が付いたその紳士が声を掛けて来ました。
 【失礼しました。蕎麦屋さんでお酒を飲んでいる所を初めて見たものですから、すみません。】
「お若い方は知らないのですね。昔は蕎麦屋で蕎麦を肴にするか刻んだネギを肴に良く寄席帰りに飲んだ物です。締めに蕎麦を手繰って、銭湯に行く。下町の風物詩だったのですよ。どうです1杯遣りませんか?」
好意に甘え1杯だけ頂く積りだったのに、老紳士との会話が心地良く。2杯3杯と杯を重ねてしまいました。
 さらに届いた、てんぷらを肴に加え、お銚子も追加してしまいました。
 「もうそこまでになさい。酒を飲んでも呑まれないのが粋な飲み方です。嬉しい事も嫌な事も酒でどうこうするのはいけません。」
 私はポロポロ涙を流していたようです。
 老紳士は立ち上がり私の背中をポンポンと軽く叩き言いました。
 「何が有ったのか知りませんが、それから逃げるために酒を飲んだのならお門違いです。君も男なら逃げずに立ち向かいなさい。それで斃れるならその方が心の整理は付け易い。」
 老紳士の叱咤にハッと気が付きました。そうです、ウジウジ考え過ぎていました。結局は私がそれでも妻を愛し必要としているのか、妻が私を今でも愛し必要としてくれているのか、それだけです。
 老紳士と別れ病院に行く足取りも、先程までとは雲泥の差が有ります。力強く地面を蹴る事が出来ます。
 いつの間にか妻は個室に入っていました。
 【よう、個室なんて凄いな。】
 当然の疑問です。差額ベッド代も馬鹿になりません。
 『鉄道会社が補償の他に負担するそうよ。だから治療費も含めてタダなの。』
 その事は補償交渉が上手く行っている事を示しています。
 もし妻に私への愛情が無く、私と別れて自立しようとした場合、経済的には何の心配もいらないのです。
 子供達は手が掛からないのです。妻を縛るものは有りません。
 【次に見舞いに来られる頃には、退院の日取りが決まっているのかな。みゆきは戻りたいか?】
 『当たり前でしょう。自分の家に戻りたいのに決まっているじゃない。あなた、なに変な事を言うの。』
 ここで告げなくては、また一月悩む事になります。そろそろ覚悟を決めるべきです。
 持参した、PCを解析した文書を取り出しながら妻に話し掛けます。
 【みゆき・・お前俺に隠している事は無いか?】
 『何よ、藪から棒に。』
 【お前が浮気している事は判っている。何時からなんだ。】
 『何を言っているの。浮気だなんて・・・あなたへンな事言わないで。』
 妻の顔は少し引き攣っている。その様に見えます。
 【HIROと言う奴とか?】
 『じょっ、冗談じゃないわ。いい加減にして怒るわよ。結婚しているのよ、浮気なんかしません。』
 中々妻は白状しません。まあそれは予想していた通りです。
 誰でも浮気を指摘されて、スグ認める筈が有りません。
 しかし私が告げた名前は妻の動揺を誘ったようです。必要以上に怒って見せるような気がします。
 【じゃあ、これはどう言う事だ。】
 ついに証拠を突き付けました。一瞬何の事だか判らずにきょとんとしていた妻の顔色がみるみる蒼ざめて行きます次いで真っ赤になりました。。
 【PCに残って居たものだ。これはお前と奴の遣り取りだよな。】
 『あ、あなた。・・・なんて事をするの、人の秘密を覗き見するなんて酷い。そんな人だとは思わなかった、イヤラシイわ。』
 おいおい、逆ギレか?
 【お前、少し前から随分派手な下着を身に付けるようになったな。化粧も濃いし、夜も外出しているそうじゃないか。ユミもミクもミキもみんなお前の行動を可笑しいと感じているんだ。警察に言われたよ、お前の携帯に子供達の番号が登録されて居ないって。おかしいじゃないか、子供達との連絡用に買った物だろう。なぜ登録していないのだ。】
 次々に指摘されるたびに妻はビクつく。
 言われる度に俯く角度が深くなる。隠れた顔から涙が出ている様子だった。
 【で、どうなんだ。事実なのか違うのかハッキリしてくれ。】
 『あ、あなた違うの。違うのよ。』


【疑惑のテンポラリーファイル】(10)

 ある日を境に、疑似彼プレイに妻は嫌悪の意を示し始め、やがて完全に拒絶するようになりました。
 『あなた、もうあんな事止めて下さい。冗談でも他の男の人とエッチするなんて有り得ません。あなたに不倫妻と言う目で見られていると思うと、情けなくて悔しくて寂しい。私をそんな風に見ているのですか?もし仮にあなた以外の男に抱かれてもあなたは怒らないの、怒る価値もない妻なの?私をもう愛していないの?』
 そこまで言われてしまうと、もう疑似彼プレイは出来ません。それどころか普通の営みも数回拒否されてしまいました。単身赴任の私にとってその数回は数カ月に渡る話になります。
 これ以後ずっとセックスレスが続いていました。
 今考えると、この事は単身赴任が終わってからもギクシャクした一因だと思います。


 その時の私は回想から覚めるとまたPCを覗き込みました。
 ブラウザは終わりにして、マイドキュメントを開きます。
 そこには私と同じ様にword、Excelと言うフォルダーが作成して有りました。別に不審な所の無さそうな分類です。
 一応念のためそれらを開いて中身を確かめました。
 幾つかのファイルが有りましたので開いてみても、おかしなファイルは有りません。
 もう一度エクスプローラーでディレクトリを展開してみました。
 【ん?通常のフォルダーじゃないフォルダーが作られている。】
 マイドキュメントの中ではなく別の親階層に紛れて『MY』とだけ名付けられたフォルダーです。
 普通の使い方だと余り、デスクトップアイコンのマイコンピューターは開かないと思ったのでしょうか?多分これは双子の娘達にも見られていたのだと思いますが、娘達はそんなにPCに詳しく有りません。それで安心していたのでしょう。
 まさか、自分が事故にあうとは誰も思わないでしょう。
 『MY』を開けます。
 『MY』には2つのフォルダーが有りました。
 一つは、『コメント』、もう一つは『発言』
 コメント?発言?何を意味しているのでしょう?
 『発言』を開いてみました。・・・拍子抜けです。何も有りません。
 何かを記録しようとして用意した物でしょうがまだ保存されていないようです。
 この分だとコメントも無さそうな気がしてきました。
 しかし開けなくては。
 『コメント』を開いてみました。
 有りました。テキストファイルが2個ほど。
 メモ帳で開いてみます。・・・これは・・
 
 『○×○×年○月××日  こんばんはMYUKIです。今日のお話は、とても切なくて身に詰まされるお話ですね。(中略)また、今夜もお待ちしています。』
 待っている?また?
 どこで?ネット上でと言う意味なのか、それとも。
 【まさかなぁ?】
 浮気の証拠を探しているくせに、いざそれを匂わすモノを見つけても、私は信じようとしませんでした。いえ、信じたくないので否定したかったのです。
 まだ一つ残っています、それを見てからでも遅くない。そう考えていました。
 『○×○×年○月×○日 こんばんは、MYUKIです。一つだけ質問に答えて下さい。どうしてあのような事をなさったの?いけない事だと判っているのに・・・・悪い人。』
 なんだこれは?
 まるで睦み事めいています。
 これを読んだ瞬間言いようの情けなさと悔しさが込み上げて来ました。
 妻を疑う事は自分では罪悪感を持っていたのです。その罪悪感が私に本格的な疑いを抱かせなかったのです。が、それは無駄な感情だったのです。
 もうこのフォルダーに用は有りません。
 私はある予想を立てていました。あそこになら有るかも知れない。
 それは、temporary Internet folder。IEの一時ファイルを格納するフォルダー。
 IEで表示したサイトのページを取り込み、様々なファイルを格納します。
 JPG、GIFなどの画像ファイル。これはHPの「戻る」「進む」「次へ」等のボタンパーツやバナーも含めた物やMIDI等の音源。HTML、TXT等の生のファイルに交じって有りました。
 『CHATLOG1』『CHATLOG2文字色』『CHATLOG3』と表示されているHTMLファイル。
 取り敢えずそれは後回しにしてHPのタイトルらしきHTMLをメモ帳で開いてみました。


「html」
「hea d」
「META HTTP-EQUIV="Content-type" CONTENT="text/html; charset=Shift_JI S"」
「META HTTP-EQUIV="Imagetoolbar" CONTENT="n o"」
「m eta name="Description" content="普通の主婦の淫らな告白などを赤裸々に語り合うサイトです"」

「m eta name="Keywords" content="妻,他人,告白,営み,恥ずかしい,無料,人妻,主婦,熟女,素人,浮気,体験告白,スワップ,乱交,複数プレイ,投稿,チャット,2ショット"」
「n oscript>「-- *ここから * --」
「S TYLE type="text/cs s"」
「!--」
「b ody,tr,td,th { font-size: ; font-family: "MS Pゴシック" }」
「a:li nk { color: #FFFFFF }」
「a:visite d { color: #FFFFFF }」
「a:active e { color: #FFC080 }」
「a:hove r { color: #FFC080 }」
「a.visite d_on:link { color: #FFFFFF }」
「a.visite d_on:visited { color: #FFE0C0 }」
「a.visite d_on:active { color: #FFC080 }
「a.visite d_on:hover { color: #FFC080 }」
「spa n { font-size: 22pt }」
「big { fo nt-size: 12pt }」
--
「/S TYLE」
「!-- *ここまでに記述* --」


 なんと妻はこんな背徳的なサイトを見ていたのです。
 これで判りました。妻はこのサイトで誰かと、或いは複数とチャットをしていたのです。
 意を決して『CHATLOG1』をメモ帳で開けて見ました。
 すると、

「ad_cou nt = AD_banner.length;」
「w rite_AD = Math.floor(Math.random() * ad_count);」
「do cument.write(AD_banner[write_AD])」
「//--」
「/s cript>「/TD>「/form>「a name="40260">「T ABLE BORDER=1 WIDTH="90%" BGCOLOR="#29231B" CELLSPACING=0 CELLPADDING=10>「T ABLE BORDER=0 CELLSPACING=0 CELLPADDING=0 WIDTH=100%>「td>2SHOTチャット - 満室12 -「TD nowrap ALIGN=right」
「:000/05/11 (水) 22:09 ID:QO0kGhdg No.40260「dd>MYUKI:こんばんは、MYUKIです。HIROさんと2泊三日の旅行、とても楽しかったです。最初から服装と下着も派手な格好で髪も黒から茶髪にして、大部雰囲気を変えていましたから知り合いに見られても気が付かないみたい。私は凄くドキドキしましたけど、HIROさんはどうでした?。「dt>[3「b>2SHOTチャット「font color="#FFFFFF">HIRO「:0000/05/11 (水) 22:15 ID:NHP7dJ5Y No.40268「dd>HIRO:こんばんは、この間は愉しかったね。MYUKIは随分雰囲気が変わっていて以前よりずっと魅力的でわたし好みになっていたよ。 「br>MYUKI:本当ですか、HIROさんとお似合いだったかしら。
HIRO:ちゃんと夫婦に見えたんじゃない?
MYUKI:嫌ですよ、からかったら。主人に知られたら大変な事になるわ。


読みにくいのでタグを削除して読み易くした。

 『2SHOTチャット』-満室―
『MYUKI:こんばんは、MYUKIです。HIROさんと2泊三日の旅行、とても楽しかったです。最初から服装と下着も派手な格好で髪も黒から茶髪にして、大部雰囲気を変えていましたから知り合いに見られても気が付かないみたい。私は凄くドキドキしましたけど、HIROさんはどうでした?。』

【HIRO:こんばんは、この間は愉しかったね。MYUKIは随分雰囲気が変わっていて以前よりずっと魅力的でわたし好みになっていたよ。】

 『MYUKI:本当ですか、HIROさんとお似合いだったかしら。』

 【HIRO:ちゃんと夫婦に見えたんじゃない?】

 『MYUKI:嫌ですよ、からかったら。主人に知られたら大変な事になるわ。』


 まさか!こいつと旅行?
 パート先の友達と旅行に行ったのではなく、この野郎と旅行?
 胃の辺りがむかむかして吐き気が起こります。
 怒りで全身が震え出し、喉がカラカラに乾いて咳込んでしまいました。
 冷蔵庫からビールを取り出し喉の渇きを鎮めようと、フラフラと立ち上がりキッチンに向かいます。
 こう言う時に限ってビールが切れています。
 ふとテーブルを見るとウオッカのビンが目に止まりました。
 いつも睡眠薬代わりに飲む寝酒。口を開けついラッパ飲みを。
 残っていた全量を一気に煽ってしまいました。
 吐き気は収まっておらず折角飲んだウオッカをトイレで吐き出し、グッタリした私はベッドへ横になり、天井を見詰ます。
 不覚にも涙が毀れた私は両手で顔を覆って、声を押し殺して泣きました。
 【うぅ・・うぅ・・うぅ。】



【疑惑のテンポラリーファイル】(9)

 『あぁぁ~ください・・・下さい、お願いします。』
 妻があの貞淑な妻が・・・私の目の前で・・・しとどに濡れたオマ○コを開いています。
 指に絡みつく陰毛はグッショリ濡れそぼち、肌に張り付いていました。
 【何が欲しいのか、言ってくれないと判らないよ、奥さん。】
 奥さんと、呼びかけられる度に、膣口が収縮し中から淫液が垂れてきました。
 『アレを・・・あなたのモノを・・下さい。』
 【チ○ポだろう奥さん。はっきり言ってよ。】
 私は頭の中で鳴る警鐘を無視して妻を言葉で嬲り続けてしまいました。
 『いや、いや。そんなこと・・・言わせないで。』
 妻は頭を左右に振り、拒絶しようと小さな抵抗を試みます。が、カラダは正直です。
 妻の腰も左右に小刻みに揺れます。
 【言わないのなら旦那のチ○ポを入れて貰いな。俺は帰るわ。】
 『いやぁ、いやぁ。行かないで。主人では・・・主人のじゃ・・・ダメなの。お願いあなたのチ○ポ入れて下さい。』
 【おれの大きくて太いチ○ポだ。】
 『あなたの・・・太くて大きいチ○ポを下さい。』
 【太くて大きくて硬いチ○ポだ。】
 『あぁ・・あなたの太くて大きくて硬いチ○ポです。』
 【どこに欲しいのか言いなさい。】
 『わたしの・・・みゆきのアソコ・・です。』
 【奥さんは学習しないな。つまらないわ、俺帰る。】
 『あぁ、ごめんなさい。・・・みゆきの・・みゆきのオマ○コ・・です。みゆきのオマ○コに、あなたの太くて大きくて硬いチ○ポを入れて下さい。』
 妻は・・・こんなに恥かしい事を言ったのは、初めての事でしょう。全身が赤く染まり発汗で濡れ光っています。
 【欲しければ自分で入れなよ奥さん。】
 私は仰向けになって言います。
 私も先程からの妻の痴態に、ギンギンに勃起して、痛い位になっています。
 妻は躊躇いつつも私に跨ります。そしてチ○ポに手を添えオマ○コの位置を探り探りしながら亀頭を膣口に宛がいます。
 一つため息を付いた妻は静かに腰を落として行きます。
 『はぁぁ・・イイ。』
 一番深くまで腰を落とし子宮に当たる感覚を味わった後、おもむろに腰を浮かせ落とします。
 『あっ、あっ、あぁ、あっ、あっ、あぁあぁ。』
 短い喘ぎが妻の口から洩れます。
 私はそんな痴態を見せる妻が、なぜか無性に腹ただしく思い、妻のお尻をそれ以上落とせないように手でブロックしてしまいました。
 『いやぁ・・止めないで・・・手を退けて・・』
 動きを止められた妻が哀願します。
 【奥さん気分を出しているじゃないか。自分から腰を振るなんて旦那に悪いと思わないのか?】
 妻は一時私の事を忘れてセックスに没頭していたのです。
 『あぁ、ごめんなさい、あなた。みゆきを・・イヤラシイみゆきを許して。でも、だめなの。我慢出来ないの、腰が勝手に動いてしまうの。あなた、あなたゆるして。』
 自分でもこれほど意地悪だとは思いませんでした。妻を言葉で苛める事に快感を覚え歯止めが利かないのです。
 私を裏切っている。疑似彼に嬲られている妻を、悦びの声を上げる妻が憎らしく思えるのです。
 何故なんだ。他の男に嬲られて悦んでいるのか?私の知っている貞淑な妻はどこへ行ったのだ。それともこれがみゆきの本性なのか?私ではそこまで感じさせることが出来なかったのか?私じゃ感じないのか?
 千路に乱れる心を偽りさらにエスカレートしてゆく私。
 【奥さんもう俺と離れられないだろう?どうだ、おれの奴隷になるか?】
 SMビデオで男が言うセリフです。奴隷・・・セックスの奴隷・・・なんて女性を冒涜する言葉でしょう。
 でも、私はさしたる抵抗も無くスラスラと口にしました。言ってから私の中にそう言う願望が有る事に気付いてしまいました。
 妻を奴隷に・・・セックスの時だけは奴隷にしたい。何でも言う事を聞く女にしたい。私のどんな要求も拒まない女にしたい。結婚以来セックスに淡白な妻を、イヤラシイ事を拒まない妻にしたかった。そんな願望を持ち続けていたのでした。
 【どうだ奥さん。奴隷になれば毎日でも抱いてやるぜ。嫌と言うほど感じさせてやる。オマ○コが乾く暇も無い位嵌めてやるぜ。】
 ことさら野卑な言葉を使いました。
 『あぁ、なる。なります。奴隷になりますから突いて。』
 妻のこの言葉に怒りがこみ上げて来ます。同時にこんな事を言う妻を、ここまで言わせる疑似彼に畏怖の念を持っているのです。
 【奴隷になったら毎日抱いてやる。その代り旦那とのセックスは禁じるぜ。他の男が使ったオマ○コは嫌だからな。それから生嵌め中出ししかしないからな。妊娠しても構わないな。】
 人妻に言う言葉では無い。そう思いながらも疑似彼の私は自分の所有物になったみゆきを独占したくて言います。
 『あぁ・・・そんな事出来ない。夫を愛しているの。夫に抱かれたいの。』
 当然です。さしたる理由も無く夫を拒むことは出来ないでしょう。まして愛していると言ってくれるのです。私はほっと胸を撫で下ろしました。
 【奴隷になるんじゃないのか?なら、止めようぜ。】
 『いやぁ・・・だめ、ダメなの。夫をこれ以上裏切れない・・・あぁでも、カラダが・・熱い・・・カラダが疼く。・・・・どうしたら・いいの?・・・あぁ・・みゆきおかしくなる。』
 私は引導を渡すように下から一気に膣奥目がけ突き上げました。重い衝撃に妻が呻き声を上げます。二度三度と突き上げ、また先程と同じ様に手で支えてしまいます。
 『あぁぁぁ・・ごめんなさいあなた。みゆきは・・みゆきは・・お願いします、私を奴隷にして下さい。何でも言う事を聞きます。夫ともセックスしません。お願いです。』
 堕ちた。妻は完全に疑似彼に支配されてしまいました。
 それからの妻は下から突き上げる私に翻弄され、あられも無い痴態を繰り広げ乱れに乱れます。
 オマ○コから白濁した本気汁を流し、太股は愚か膝下までバターを塗りたくったように粘つく淫液で濡らしています。
 1度射精した私も2度目の射精の時を迎え様としています。
 【奥さん・・・みゆき。中で出すぞ。】
 『あぁ・・来て。来て、出して。』
 妻はもう中出しを嫌がりません。疑似彼である私の精液を注がれる事を望んでいます。
 妊娠の可能性もこの際気にならなくなりました。3人の子供と年の離れた子供。出来たら出来たで育てる積りでした。
 子宮に注がれる精液で妻がどんな反応を示すか、それを知りたかったのです。
 『あぁ・・・出ている。あぁん熱い。いっぱい、出ているぅ。・・・みゆき・・汚されちゃった。あなた・・みゆきを許して。愛しているの。汚れていてもあなたを愛しているわ。愛しているのはあなただけ。・・・でも、カラダは・・言う事を聞いてくれないの、許して。』
 妻の心お動きが益々判らなくなりました。
 愛していない男に抱かれ、中出しを許せる妻と愛しているけどセックスはしないと口走った夫。妻の心はどちらに有るのでしょう。
 しかし考える気力が湧きません。2度の射精で体力を消耗した私は猛烈な睡魔に襲われ、妻のカラダの上で寝てしまったのです。

 翌朝目覚めると妻が居ません。慌てて起き上がり部屋を出ました。
 『フン♪フン♪フン♪』
 キッチンから妻の鼻歌が聞こえてきます。ジュウジュウ炒める音が聞こえます。
 『あら、あなた起きたの?まだ寝ていても宜しいのに。』
 妻はご機嫌な様子です。
 【みゆき・・・夕べ俺。】
 『あなた。昨夜は凄かったわ。結婚して以来初めてです。あんなに感じたの。私あなたに愛されて幸せよ。ありがとう、お疲れでしょう。今日はゆっくり休んで下さい。』
 疑似彼プレイの事は聞けませんでした。妻の、何のわだかまりも持っていない様子にホッとした気分と愛おしさにキッチンに立つみゆきを後ろから抱き締めてしまいました。
 『あっ、あなた。危ないわ。もう、お互い若くないんですから。朝っぱらからいやらしいわ。』
 妻は怒っているのでは有りませんでした。むしろ続けて欲しい様子です。
私は妻の頤に指を掛け心持上を向かせ、kissをしました。
 この日は、昨夜の異常愛にも係わらず、凄く満ち足りた気分でこれまでにも増して妻を愛していたのです。それなのに・・・・


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一応フィクションとしてますが、ナイショ
写真は・・・・いけないんだぁ

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