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クロウエア・エクサラダ【18】

 『直ぐに欲しいんです。このままここで挿れて下さい。』
 踊り場の手すりにもたれ。お尻を突き出した。普段ならこんなはしたない事自分から求めたりしない。
 でも今日は・・今はどうしても嵌めて欲しい、そして熱い精液を注いで欲しかった。
 女の感で、今日が一番妊娠しやすい事が感じられた。そして同時に今すぐに膣内射精を受けたら受胎する。そんな予感が有った。この機会を逃すと、受精しない、そう女の感が告げていた。
 明日の夜には夫が来る。夫に抱かれ必ず膣内射精をさせなければ今日の覚悟計画が無駄になる。
 といって、夫の精子で受精しないと言う確信は持てない。何らかの避妊は必要だった。
 一郎さんの精子を受け入れ夫の精子だけを受け入れずに済む避妊方法・・コンドームは論外、マイフェミィもペッサリーも装着していることが判ってしまう危険がある。勿論経口避妊薬ピルも低量ピル・・モーニン・グアフターピル緊急避難ピルでは72時間以内の服用の為一郎さんの精子も殺してしまう。以前はうってつけの物が有った。殺精子ゼリー、製品名マイルーラ・・日本では17年も前に製造中止になっていた。・・フィルムを性交の少し前に膣に入れる。コンドームと併用するのが理想だが、単独でも正しく用法を守れば効果がある。
それならば、健一の精子だけ殺し、前日に受け入れた一郎の精子を守れる。
 一郎と逢わなかったこの一月インターネットで輸入代行業者がアメリカ製の物を取り扱っている事を調べ、注文した。物が3日前に届いたことから実行に移そうと香織は決断したのであった。
 香織の計画的な犯行を健一が知れば、どれほど傷つくか、思わなかった訳ではなかった。
 知られれば間違いなく離婚だろう。自分の悪辣ぶりに身震いがした。
 考えれば考えるほど背中がゾクゾクし、喉がヒリヒリした。
 恐れ戦きながらこの状況を望んでいる香織が居た。背徳的で有れば有るほど興奮し、抑えきれない。
 それを悦んでいるのだ。どうしようもないマゾ・・香織は自覚した。
 気付かせてくれたのは一郎・・・自分のマゾ性を引き出したのも、それを鎮めてくれるのも、健一では無理だと気付かされた。優しい夫には無理な注文だった。
 真に自分を理解し、それをコントロール出来るのは一郎しか居ない。
 どんなに泣き叫んでも素直に叶えてくれない。そのくせ何時でも思う様に自分を扱う男。冷酷で優しく、酷薄で思いやりのある男。
 足元にひれ伏せば安心感を、抱き寄せられると不安を感じさせる男。
 一郎・・・
 健一にはない危険な香り。冷たい眼・・そのどれもが香織を翻弄する。
 嬲り苛められると胸がときめく。背中がヒリヒリする。子宮が疼く。
その男の精がどうしても欲しかった。自分を支配し操る男・・一郎。
 一郎のモノだという証が欲しかった。 夫にばれない方法で。
乳首のリングやクリトリスのピアス、刺青などの方法は確かに男の所有物としての安心感を与えてくれる。が、同時に逃げ場所を失う。
 梯毛なら簡単だ。いい訳も山ほど出来る。
 でもそれでは一郎への忠誠の証としては不足する。
 普通の主婦の生活を営みながら一郎への隷属を確認させてくれる方法・・一郎の子を産み夫と育てる。・・これしかなかった。
 あぁ・・なんと淫らで茨の道だろうか。育つに従い夫と違う人格容貌を備えるであろう我子。
 健一の疑惑がいつ噴きだすか、その時自分は、どれほどの興奮と快感を得るのか。堪らなかった。その思いを与えてくれる一郎に身も心も捧げる悦び。
 普通の女性、普通の女性では絶対味わえない。マゾの特権


クロウエア・エクサラダ【18マイナス0.5】

 『直ぐに欲しいんです。このままここで挿れて下さい。』
 踊り場の手すりにもたれ。お尻を突き出した。普段ならこんなはしたない事自分から求めたりしない。
 でも今日は・・今はどうしても嵌めて欲しい、そして熱い精液を注いで欲しかった。
 女の感で、今日が一番妊娠しやすい事が感じられた。そして同時に今すぐに膣内射精を受けたら受胎する。そんな予感が有った。この機会を逃すと、受精しない、そう女の感が告げていた。
 一郎には、香織の話が理解できていなかった。
 危険日安全日の概念は判る。しかし、ピンポイントでどうのこうのと言うのは理解の範疇を超えていた。
 ただ、香織が自分を求めてくれる、その悦びを分かち合いたいと思っていだけだった。
 この場合の一郎は、以前香織と関係した・・SWの時には夫の健一との約束と、香織の否定で膣内射精は行っていなかった。そして再会後の関係でも一郎は律儀に約束を守っていた。
 それが香織の哀願に我を忘れたと言える。
 男に取って女性の膣内に射精すると言う行為は、子孫存続の為の生殖行為であり、自分の遺伝子を残す為の強烈な生の欲求である。従って、自分の精を受けた者を庇護することは己の子を産む大切な者であると主張する事でもある。人間の男に例えれば庇護は征服の証で、所謂「この女は俺のモノ」という征服感を与えるものであり、ただ女性を抱いた事よりも大きな意味を持つ。
 現在のような避妊具、避妊薬がない時代なら文字通り「中出し」の持つ意味は女性の側からも重大な意味が有った筈だ。
 弱肉強食が種の保存の掟であった時代なら、妊娠・出産に伴う危険は計り知れない、現在でも病院たらい回しの末の重篤状態や妊婦の死等の痛ましい事件事故が発生する。
 医療が発達していない時代の妊娠・出産は,命を掛けた行為である。
 いや弱肉強食の時代なら、妊娠しただけでも死へのリスクが増大した。身重で運動能力が低下する。体の中で自分とは異なる細胞を宿し、体の変調を招く。逃げ遅れれば死の世界である。
 つまり、膣内射精「中出し」を許すと言うことは、文字通りその男に命を預けたことを意味する。それ程重大な決意であるとは、今の時代、女性はあまり思っていないのかもしれない。
 しかし、AV業界で「中出し」のジャンルが人気があるのは、世の男性が今だに本能で感じている事なのだろう。ちなみに欧米のポルノでは中出しは稀である、欧米人はその意味するところを、充分理解しているのだろう。

 一郎はそこまで考えていた訳ではないが、香織が自分のモノになることを選んだと思っている。同時に夫である健一から香織を奪い取ったと言う征服感も持った。
 香織を形作る細胞の一つ一つに己を刻み付ける。牛馬に例えるのは失礼な話だが、自分の所有物に焼印を押した事と同列で、奪った物に新たに上書きして焼印を刻む行為でもある。
 ついでに言わせて貰うと一時の快楽に任せ妊娠した結果、中絶を行う若い子や、不倫の果てに中絶を行う人妻が居る。
 生命の抹殺という倫理的な事を問う積もりはないが、何より母体つまり自分の体への負担を考えるべきだ。
 中絶もそう何回も出来るわけではない、どこかしら体に負担を与えているのだから、だから、もう子供が産めない体になると医者の忠告もある訳である。
 子供を産める産めないで差別する訳じゃなく、本当に欲しくなった時後悔しないように、避妊には充分注意をするように薦めているのである。
 中出しは覚悟とリスクを天秤にかけ決断した方が自分のためになる。と作者は思う。この場合男の自衛能力を当てにしないのが正解だ。男は種を撒くだけで、酷いのになると相手の女性を責める輩も居る。「お前がちゃんとしないからだ・」言われた経験がある女性も多いのではないか?
 ま、男の選択の誤り、自業自得だと諦め、後悔の涙を流すのだな。
 だから結婚と言う形態も実は男に覚悟と責任を促すもので、征服した女性を庇護する事を約束したものだ。であるからこそ、女性も安心して妊娠し出産できる。シングルマザーも多いだろうが、精神的な安定感では結婚している女性に軍配が上がる。のではないだろうか。

 とここまでえらそうに書いた作者も実は無頓着な方かも知れない。中出し・・膣内射精どころか肛門射精、口内射精。顔面射精を好んでいる。いずれも相手の女性の細胞の隅々まで自分の印を刻み付けたい、清らかなものを汚したい、全てを自分の色で埋め尽くしたいと言う、意識が強い。し、実行に移してきた過去がある。
 避妊を考えたことが無かった。・・・今は違いますよ。考えます、だから安心して付き合いませんか?この年ですからそれなりの経験が有ります、ノーマルな刺激にに飽き足らない女性・・カラダだけではなく心から蕩けさせますよ。二度と離れられなくなるかも知れませんが、試してみますか?・・・などとドサクサに任せてアピールしてみました。だって、作者は万能の神だから・・お遊びも入れてみたい。真面目な話の後だけに効果的かと。
本編に戻ります。


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